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アレクサンダー大王の天才論と浜岡原発について

2011.05.12(23:37) 794

作家の塩野七生(しおのななみ)さんがアレクサンダー大王に関して称した興味深い言葉があります。

-天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。-

(『ハンニバル戦記 ローマ人の物語Ⅱ』塩野七生、新潮社、1993年)

カルタゴ稀代の名将ハンニバルは、アレクサンダー大王の戦略と戦術を研究していました。
アレクサンダーの特徴は従来の戦闘を全く変えてしまったことです。

例えば、それまでの戦闘では歩兵は歩兵同士、騎兵は騎兵同士が闘うのが定法でした。
ところがアレクサンダーは、騎兵を歩兵にぶつけたり、歩兵を騎兵にぶつけたりしています。

従来の戦闘をイノベーション(革新)させたアレクサンダーについて、塩野さんが語った感想が上記の天才論です。

天才は誰もが見ていても気づかなかったことに気づく人なんですね。


そういえば、浜岡原発が停止することになりましたけれども、もし、アレクサンダーやハンニバルがこの件を見たら、どのような感想を持つでしょうか?

一般論は、「菅総理の英断」と、肯定的な意見が多いようです。


でも、どうなんでしょう? 福島原発で亡くなった人はいるでしょうか?

福島原発で作業をしていて、津波に巻き込まれて亡くなった方はいらっしゃいます。しかし、放射線等で亡くなった方はいません。

以前ブログに書きましたが、自殺で亡くなる人は毎年3万人以上です。交通事故は平成21年度で74万件発生し、負傷者は90万人、死亡は5千人です。

原発のようにリスクを想定するならば、「車の事故が毎年74万件発生していますから、車を走らせるのを自粛していただきます。」と総理大臣が言ってもおかしくないわけです。

リスクという意味では、原発より車の方が危険だという見方もできます。

あるいは、原発の危険よりも、自殺者を3万人も毎年出していることの方が、現実に起きている悲劇だという見方もできます。


それから、大きな問題は海外にまで広がっている風評被害だと思います。原発の風評被害は政府の人災ですし、そもそも地震が起きた時に、政府が東電に対し廃炉を前提にして、すぐに海水を注入するように指示をしていれば、ここまでの事件にはならなかったと考えられます。

要するに地震と津波だけで現在の状態になったわけではなく、人災の部分も大きいので、そこを総括し修正すれば、浜岡の場合は防げる部分も増えてくるのではないかという見方もあるのです。


例えば、浜岡原発の場合ですと、東海地震が起きて外部電源が途絶えた場合には、即刻廃炉してでも海水を注入するということを政府と中部電力で決めておいて、浜岡原発を継続して使用する方法もあると思います。


以前ブログに書きましたように、復興の鍵はエネルギー(電力)なので、浜岡原発を停止することは復興どころか、日本経済を弱らせることになると心配しています。


大地震も原発もリスクであることは変わりありません。ただ、北朝鮮も中国も大きなリスクでしょう。車も台風もリスクです。テロもリスクです。


世の中にはリスクが満ち溢れています。それゆえ、政治は幹と枝を正しく見極め、リスク対応の優先事項を考えなければならないのです。

「浜岡原発を続けるリスク」と、「原発を停止するリスク」を比較し、何を今優先すべきか。

そして、それぞれの結論を出した場合の最悪の事態とは何なのか、その対処方法は何かを考え、大局的に判断しなければならないと思います。

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