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薩長同盟はがっくり。 「事が成るならぬは福山雅治による龍馬伝」

2010.08.29(23:36) 569

今日は2回目のブログです。『龍馬伝』の「薩長同盟ぜよ」を見たので、感想を書こうと思いました。

今日の1回目のブログでは、『竜馬がゆく』を書いた司馬遼太郎さんが、「竜馬という若者を書こうと思い立ったのは、このくだり(薩長同盟の場面)に関係があるといっていい。」(『竜馬がゆく』第6巻 文春文庫)という言葉を紹介しました。

そして薩長同盟が成立することになったのは、坂本竜馬のひとこと、「長州が可哀そうではないか」なんですが、司馬さんは次のように書いています。

「ひとことのふしぎさを書こうとして、筆者は、三千枚ちかくの枚数をついやしてきたように思われる。事の成るならぬは、それを言う人間による、ということを、この若者によって筆者は考えようとした。」(同掲書)

志士達の常識でもあった、薩摩と長州が手を握れば幕府は倒れるという考えは、アイディアとしてあっても、実現不可能のことだったんですね。

それを、坂本竜馬という一介の脱藩浪士がなぜ成し遂げることができたのかを、司馬さんは『竜馬がゆく』の中でその回答を書ききったのだと思います。


ところが、『龍馬伝』は残念ながら、薩長同盟のシーンをきちんと描いていませんでした。

史実では、薩摩の西郷隆盛と長州の桂小五郎がお互いの藩の立場で薩長同盟の口火を切ることができずに、10日ほど何もせずに時が経っていたようです。

そこで、坂本竜馬は桂小五郎に「何をしていた」と聞き、日本のために死んでいった土佐藩士のことを涙ながらに話します。

そして桂小五郎も、「薩摩藩があれば、例え長州藩が滅んでも天下は幸いである。」と語っているのです。

そうした情感のある、やり取りのあと、竜馬が西郷のところに乗り込み、「長州が可哀そうではないか!」と叫び、西郷をじっと見つめて、薩長同盟は成立したそうです。


こうしたくだりが『龍馬伝』では全く描かれず、谷原章介さんの桂小五郎が、信頼できる立会人に福山雅治さんの龍馬が来るのを待つという設定になっていました。


なんか学生が盟約を結ぶようなシーンくらいに軽く描かれていたので、がっくりでしたね。

大森南朋さんの武市半平太や佐藤健さんの岡田以蔵には、『竜馬がゆく』にはない情感で描いていました。

ところが、薩長同盟の桂と西郷との龍馬のやりとりでは、芸術性は低く、情感も気迫も低くて、イマイチのシナリオでしたね。

あれだけの素晴らしいキャストを集めて、セットや衣装にお金をかけて、このシナリオではもったいないなと思いました。

福山雅治さんが龍馬をやっていなかったら、完全にこけてしまっていたでしょうね。

司馬さんではないですけど、「事の成るならぬは、それを演じる福山による」のが『龍馬伝』なんですね。

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