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『龍馬伝』 なぜ松平春獄は坂本龍馬にお金を貸したのか?

2010.05.16(19:50) 448

『龍馬伝』第20回「収二郎、無念」の中で、勝海舟(勝麟太郎)の神戸海軍操練所の資金を坂本龍馬が借りに行くシーンがあったので注目して見ていました。このシーンは現代でいうとベンチャー企業(勝海舟の会社)の役員(坂本龍馬)が資金を引っ張ってくるようなものなので、経営をしている方なら私と同じように興味を持たれると思うんですね。

「一体どのようにしてお金を借りて来たんだろうか」と。


さて、その坂本龍馬が借りに行ったのは、松平春獄(まつだいらしゅんがく)公の福井藩でした。

司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』を最初に読んだ時、「なぜ福井藩の年間予算にあたるような大金五千両(『龍馬伝』では千両)を春獄公は貸してくれたのか」が良くわからなかったんですね。

『竜馬がゆく』では、ポイントが二つあって、三岡八郎(みつおかはちろう、後の由利公正(ゆりきみまさ))が間に入って松平春獄公に取り次いでいます。

そしてもう一つが竜馬のくせです。話す時に羽織のひもを竜馬が噛み、その唾がついたひもをぐるぐる回して話し相手が閉口してしまうことが書かれています。

私はこの「竜馬がゆく」の説明を読んでも、「なぜそんな大金を貸してくれたのかな」という疑問はすっきり解けませんでしたね。

ゆえに、『龍馬伝』ではどのように描くかなと思ってたんですが、更にさっぱり分からないストーリーになっていました。

武田鉄矢さんの勝麟太郎(勝海舟)が突然、福山雅治さんの坂本龍馬に「千両借りてきてくんねえ」と言うだけで、勝海舟の根回しも出てこないし、三岡八郎の仲介も描かれていないんで、「全く説得力のない」脚本になっていましたね。

やはり、この神戸海軍操練所のお金を引っ張ってくる場面は、『龍馬伝』の脚本を書いている人には、その本質がよくわからなかったのでしょうね。


そこで、もう一度、このくだりを『竜馬がゆく』で読んでみました。

するとこんなことを司馬遼太郎さんは書いていました。

「越前福井候松平春獄というひとは、(中略) 諸候きっての秀才である。たんに秀才ではない。容貌のやさしさに似ず、旧習を屁ともおもっていない豪儀さと、いい案は多少の弊害があってもどんどんとりあげてゆく度胸が、うまれついてそなわっている。」


それを読んで私が考えた結論はこうです。

松平春獄公には天才的な洞察力と先見性があり、かつそれを実行する度胸が飛びぬけてあったんだと。

そして、勝海舟と坂本龍馬の構想に日本の将来を託すべきだということが、この方には見えたのではないかと。


この場面は坂本龍馬や勝海舟を中心に見るのではなく、松平春獄公を中心に見ないと本質が見えないのではないでしょうか。ま、『龍馬伝』でも夏八木勲さんのような重厚な俳優さんを使っていますね。

歴史上偉大な人物には偉大なパトロンがいるものです。 運命的に出会うべくして、出会っているのだと思います。
 
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