
前回のブログ記事で、中国発の世界大恐慌をイノベーションの機会にすることを書きました。
ドラッカーの『現代の経営 下巻』(上田惇生訳、ダイヤモンド社)に、大恐慌時のIBMのイノベーションが書かれています。
IBMはイノベーションとして、雇用保障をしています。IBMのトップマネジメントは、雇用を維持することこそ自らの仕事としたのです。それも1930年代の大恐慌の初期の頃に採用されています。
ドラッカーは、IBMのあるエグゼクティブの言葉を紹介しています。
「IBMは成長したから、不況時にも雇用を維持できたという言い方は正しくない。逆に、雇用の維持を約束したからこそ、IBMは成長した。この約束のせいで、IBMは新しい顧客と新しい用途を見つけなければならなかった。さらには、市場において満たされていないニーズを見つけ、そのニーズを満たす製品を開発しなければならなかった。海外に市場を開拓し、輸出を促進しなければならなかった。
もし、不況時にも雇用を維持するという約束がなかったならば、IBMは世界一の事務機器メーカーにも、輸出企業にもなっていなかったと思う」
IBMは、雇用を維持することを社員に約束したので、トップマネジメントは顧客を創造するしかなくなったわけですね。そして、社員は安心して働けたのでしょうし、モチベーションも高くなっていたのでしょう。
「そんな甘いこと、できないよ」と、ほとんどの経営者は思われるかもしれません。
でも不思議なことに、雇用を維持しなかったIBMの競合会社は、大恐慌時に苦しんでいたようです。
大恐慌時でも倒産を免れたのはIBMだからだと思われるかもしれませんが、当時のIBMは単純なパンチカード機械を作っていただけで、独自の技術や製品と呼ばれるものがあったわけではありません。ただ、社員の訓練には力を入れていたようです。
社員の雇用を守ろうとするから、経営トップが頑張れるところもあるんです。そのギリギリの心境から、創意や工夫が生まれ、新しい市場も出てくるのだと思います。
「うちの会社には関係のない話だ」と思わずに、大恐慌時にそうした成功事例があったことを知ってください。

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