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仏教的トップマネジメント その13

2017.03.10(00:11) 1782

仏教的トップマネジメントの第8条は、忍耐の大切さを説いています。

8.すぐの成功を求めてはいけない。


<理解を深めるための補足文>

すぐの成功を求めてはいけない。願いが実現するまでにはタイムラグがある。プロセスを着実にこなし、目標までのマイルストーンを立て、段階を追った成功を考えること。忍耐も大切である。


<解説>

第8条は、成功を目指すトップマネジメントが足下をすくわれないようにするための戒めになっています。トップマネジメントによっては、目標だけしか見えなくて、目標までにクリアしなければいけないものを無いように見ている人がいます。途中の段階を一つ一つ積み上げられない性格の人です。こうした方は失敗しやすいので、地味ですが、確実に小さな成功体験を積み重ねていくことが求められます。

例えば東証一部上場を目指すとしても、まずは新興市場に上場するところから目指せばよいわけですし、その前に毎年の利益を積み上げ、社内の体制も固めていく必要があります。目標が大きいほど、それまでの道のりが長いわけですけど、マイルストーンを設定してそれを目指して、着実に一歩一歩進んでいくことが成功の鍵です。

「すぐの成功を求めてはいけない」ということで誤解していただきたくないことは、短期的な(1年間など)成果を出すなという意味ではないことです。短期的な成果も必要です。ここで言わんとしていることは、途中のプロセスを無視した考え方をしないことと、長期的な視野を持った成功を考えていただきたいということです。成果があがらないから、すぐにダメだと短絡的にあきらめるのではなく、努力し続ける精神が大切なのですね。

その考え方として大事なことは忍耐の精神です。目標への道のりが長いと、それだけ時間を耐えなければなりません。これは並み大抵のことではありません。じーっと耐えながら、努力を続ける意志が必要になるのです。そのうえ人は一つのことにしか才能はありません。ある一つの仕事の分野を10年、20年、30年、50年と続けていく根気がいるのです。

大乗仏教で菩薩が行うべき修行に六波羅蜜(ろくはらみつ)というものがあります。六種類の修行がありますが、その一つに、忍辱波羅蜜(にんにくはらみつ)というのがあります。菩薩になるための苦難の修行を耐え忍ぶことですが、トップマネジメントにも耐え忍ぶことができる精神が求められるでしょう。

先ほどは、事業経営の目標に触れましたけれども、人材育成についても同じです。すぐに人が育つように考えるのではなく、時間がかかるのを理解した上で、時間を待ってあげることも大切です。すぐに結果が出なくても、あとあと実が結ぶこともあります。特に人については成果が上がるのに時間がかかるでしょう。時間がかかって当たり前だと思って、忍辱の心で見てあげることです。部下に話しても今は分からないかもしれませんが、2年後なら分かるかもしれません。年を取ったら分かるかもしれません。今は理解していないし、いつ理解をするかは分からないけれども、今話さなければいけないこともあるのです。

経営においては、忍耐を求められることが多いです。ただ言えることは、短気を起した方が負けだということです。短気を起さず、大局を見てください。長期的な視野も持ってください。着手するのは小さくでいいです。でも、遠くを見る視野も持ってください。すぐに結果が出なくとも、努力を続ける気力が大事なのです。


< 続く >
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