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仏教的トップマネジメント その11

2017.03.08(00:56) 1780

仏教的トップマネジメントの第6条は、第4条の知識に関係しますが、強調するためにあえて別に分けています。

6.人生の悪についても研究せよ。


<理解を深めるための補足文>

人生の悪についても研究せよ。単なる「お人好し」で経営をしてはいけない。他の人に悪を犯させない知恵も大切である。


<解説>

私が倒産の事例を研究したときに多かったのが、甘い話に乗って騙された社長や、人が好くて連帯保証人になり倒産した社長です。人が悪いことをすることをあまり考えられなかった社長のパターンです。トップマネジメントはお人好しによって、会社を倒産させたり、危機に陥らせたりしてはいけません。

経営では、事業をするにあたって、必ず負わなければならないリスクがあります。例えば、医者だったら治らないリスクもありますし、下手をすれば患者が亡くなることもあります。しかし、仕事上、避けようがないリスクです。ところが、負う必要のないリスクもあります。それがこの「お人好し」のケースです。

負う必要のないリスクとは、自分が相手の要望に応えなければ発生することのないリスクです。私が思い出すのは、アサヒビールの樋口廣太郎さんのことです。樋口さんはアサヒビールの社長に就任したときに、キリンビールをたずねて、「我社のビールのどこがいけないのでしょうか?」と聞きに言っています。キリンビールの首脳は、「アサヒの売っているビールは古すぎる」など、いくつか思うことを樋口さんに伝えたようです。上杉謙信が武田に塩を送ったことは「敵に塩を送る」という歴史上の美談になっていますが、企業経営では敵を利する美談はいりません(笑)。

仏教的トップマネジメントでは、利他の精神を話していますけど、それを他社が有利になるようなところまで行くと、それは自分たちを滅ぼすことか、弱らせることにつながってしまいます。そうなると、大事な社員を守ることもできなくなりますので、負う必要のないリスクは断じて負ってはなりません。経営は「お人好し」ではいけないのです。「業界の発展を」と、手の内を全て見せるトップもいますが、それで自社が潰れれば業界の発展にはならないでしょう。

そして大事なことは、どういったシチュエーションになると人が悪いことを考えるかを知っておくことです。何か企業犯罪が起きたときには、どういった背景でそういったことが起きたのかを調べておくと良いです。一つ言えることは、誰もが見ていないシチュエーションになると、人は悪いことを考えがちだということですね。

例えば、お金の出し入れを自分だけが把握しているだとか、印鑑と通帳を持っているけれども誰もそれをチェックする体制になっていないであるとかです。

それと、分不相応は地位やお金を得ると、おかしくなる人がいます。人の上に立つべきではないのに、創業メンバーだからということで、取締役になっている人がいます。そして会社が大きくなって、上場企業までなって、取締役としての役割が大きくなり、権力を振り回してしまうこともあります。それとは逆に仕事ができるタイプでおかしくなるケースもあります。仕事で成果を上げて、自分がこの会社を全て動かしている、持たせていると慢心する者もいます。こうした人は大抵ナンバーツーか、ナンバースリーなのですが、トップと会社の所有について争うこともあります。

人を選ぶことも大事ですが、人はどういったシチュエーションで悪を働くかを考えておくことです。ほとんどの場合、トップマネジメントの油断や、経営のほったらかしが原因ですので、気をつけなければなりません。

人に悪を犯させない知恵も必要であることを知っておいてください。


< 続く >
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