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仏教的経営成功法 その28

2016.10.29(17:39) 1671

これで仏教的経営成功法の要素が出そろった。

本論の最初の方で、経営の問題の核になるのは、「経営トップの心」と「経営トップの知識」の問題であると論じた。心の問題については、仏教思想の苦・集・滅・道の「四諦」のフレームワークを使って八正道による反省を勧めた。知識の問題については、経営トップが知るべき知識を具体的に述べた。

この二つについては、経営トップが”自らをマネジメント”(セルフマネジメント)する内容を書いている。そして、経営者に、経営の王道を歩んでもらうため、自分の足らざるところ、間違った思いを変革(イノベーション)する、すなわち”自己変革”を促すものとなっている。

会社の命運は経営トップが握っている。経営トップの心と知識が会社の核である。それゆえ、真っ先に取り組むべきことは、経営トップの心と知識の改革、すなわち経営トップの自己変革なのだ。

経営トップの自己変革は、経営トップ個人の成長に繋がり、認識力の向上は個人の成功に繋がっていく。経営トップはその成功体験を自分だけに留めておくのではなく、会社組織に広げていかなければならない立場にいる。

仏教思想に「自利利他」(じりりた)という言葉がある。自利利他は、一般的な解釈では、「利他の実践がそのまま自分の幸せなのだ」というものである。

しかし、私は「自利」を先に考えて、「自らの仏道修行によって得た功徳を自分が受けるとともに、他の人にも功徳を与えること」と解釈している。現代的な言葉に代えると、「自分の向上を、他の人の幸福につなげる」というものである。自分だけが良くなればいいというのではなく、「自分が成長して幸せになったら、それを他の人の幸せに広げていく」のである。経営者の場合だったら、個人の成功や幸福を、組織(従業員)の成功や幸福に広げていくことである。

ここでのポイントは自利が先であって、まず経営者が心を正し、知識を学んで、それを他の人へ広げていくということだ。セルフマネジメント(自利)から、組織のマネジメント(利他)への流れである。

ただし、留意していただきたいのは、自己変革、セルフマネジメントが完全に終わってから、組織のマネジメントをするという意味ではないということである。

人生の課題は成長に応じて次から次へと出てくるものなので、自己変革は一生続き、自分づくりが完成するときはないのだ。だからといって、「自分は完璧だ」と思うまで何もしないということではない。自分づくりが完成していなくても、その時点での最高の自己は差し出せるものである。その時点での最高の自己を差し出しながら、他の人を幸せにすることを考えるということだ。


そして、この流れで必要になるのが、先に述べた「行動」である。成果には、心と知識と行動の三つが関係してくる。

心とは、どういった精神で仕事をするかといった「心の方向性、心の深さや高さ、心の強さ」である。知識とは、「どういった知識を持っているか、あるいはその知識を使いこなせているか」といったことである。行動とは、「実践であり、実際に動くこと」である。

成果はこの三つの要素を掛け合わせたものになる。そして、組織の成果は、そこに所属する人全員の「心のレベル」と「知識のレベル」と「行動のレベル」の掛け算によって規定される。

ここで成果を出す関係を方程式にしてみよう。

成果(Results) = 心(Mind)×知識(Knowledge)×行動(Action)

R=MKA


注目していただきたいのは、方程式が掛け算だということだ。知識は減らないのでゼロは基本的にはない。しかし、行動はゼロということはあり得る。その場合、他の要素があっても成果はゼロである。あるいは、心がマイナス(悪意など)になっているときには、他がプラスであっても結果はマイナスになる。また、心がマイナスで、知識も悪い知識(マイナス)であったら、行動も悪い行動でマイナスになるので、結果はマイナスとなる。

方程式は一見”言葉の遊び”風ではあるが、マイナスの心を持つことのリスクを知っていただきたいことと、それぞれの要素を高めることによって、相乗効果で成果が上がることを理解していただければよいと思う。

<続く>
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