まとめとして、「仏教的経営成功法」を段階論で説明をしてみる。
仏教的経営成功法では、第一段階として、経営者の自己変革(セルフマネジメント)を説く。それは経営者が、自らの心の問題と知識の不足に真剣に取り組むことである。どのように心に取り組めばいいかというと、心の四毒(貪・慢・瞋・癡)がないかを点検し、正見、正思惟、正語の反省をすることである。そして思いを利他にして実践する。
獲得する知識については、縁起の理法、4つのマネジメント機能(マーケティング、イノベーション、人を活かす人事管理、管理会計)、悪の知見があるが、その企業特有の経営課題を解決する経営手法も学ぶ必要がある。こうした自己変革の取り組みによって、経営者の認識力や人間力は間違いなく向上する。
経営の成否は経営者がほとんど握っているため、経営者の絶えざる自己変革が最重要であると言って過言ではない。
第二段階は、「自利利他」の精神の表れとして、個(経営者)の人間力の向上(成功)から、組織(社員)の成功(幸福)へとつなげていく段階である。組織を構成する者の「心」、「知識」、「行動」を掛け合わせて最大成果を挙げることである(心を正し、学習を続けて、行動すること)。
自利利他の精神は当然のことながら、社内、社員だけではなく、お客様に広がっていき、地域から日本へ、日本から世界へと広がっていくことになる。これは、近江商人の「三方良し」の精神と同じである(「三方良し」とは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方が良いということ。売り手も買い手も満足して幸せで、社会貢献もできているのが良い商売だということ)。社員が幸福になるだけではなく、お客様も幸福になり、社会も繁栄して幸福になる姿である。経営者の志としては、地球レベルの繁栄までを目標にしていただきたい。
なお、組織として成果を上げるには、知識を経済的な価値に転換する行動が必要になる。その行動として5つの行動を論じたが、それらを起点にしてイノベーションの4つの機能、その他の経営手法を実践していただくと良いだろう。
以上、段階論によって仏教的経営成功法を説明した。本論考の説明はこれで終了である。
最後に申し上げたいことは、こうした成功法を実践するためには、自分の怠け心や弱き心に打ち勝たなければならないということだ。 時間に耐えることも必要になる。
何かを行動すると、誰かが反対をするかもしれない。
やったことがないことをやるとき、自信がないかもしれない。
変化を恐れるかもしれない。
また、失敗してお金を失ったらどうしようとネガティブになることもあるだろう。
想像していたより面倒だなと思って、モチベーションが上がらないこともあるかもしれない。
忙しいから、やる時間がないと思うこともあるだろう。
しかし、それら全部のネガティブな感情や思考に負けてしまってはいけないのだ!
もし自分の心を見つめて、
向上しようとする心、
仕事を通じて人々を幸福にしようという心、
情熱のようなものがあるならば、
その情熱を大きくして、怠け心に打ち勝っていただきたい!
光を強くして、ネガティブな感情に打ち勝っていただきたい!
仏教に「抜苦与楽」(ばっくよらく)という言葉がある。「苦しみを取り除き、幸福にする」という意味である。 経営がうまくいけば、消えていく闇や不幸は多いのだ。
この世には光を求めている人がたくさんいる。
一人一人の心に光が必要である。愛が必要である。
誰かが愛や光を与えていかなければならない。
たとえ、小さくとも。
仕事がうまくいって、家庭が幸せになって繁栄している社会をつくっていきたい。
貧乏に苦しむ家庭を一つでも減らしていきたい。
創る製品が美しい、そうした会社を応援したい。
提供するサービスに美がある、そうした会社を応援したい。
企業が発する「愛と美」が、日本に広がって、海外に広がっていくのをみたい。
一所懸命に頑張っている経営者を応援したい。
仏教的経営成功法は、こうした願いから生まれた。
完
<次回は、「あとがき」です>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
仏教的経営成功法では、第一段階として、経営者の自己変革(セルフマネジメント)を説く。それは経営者が、自らの心の問題と知識の不足に真剣に取り組むことである。どのように心に取り組めばいいかというと、心の四毒(貪・慢・瞋・癡)がないかを点検し、正見、正思惟、正語の反省をすることである。そして思いを利他にして実践する。
獲得する知識については、縁起の理法、4つのマネジメント機能(マーケティング、イノベーション、人を活かす人事管理、管理会計)、悪の知見があるが、その企業特有の経営課題を解決する経営手法も学ぶ必要がある。こうした自己変革の取り組みによって、経営者の認識力や人間力は間違いなく向上する。
経営の成否は経営者がほとんど握っているため、経営者の絶えざる自己変革が最重要であると言って過言ではない。
第二段階は、「自利利他」の精神の表れとして、個(経営者)の人間力の向上(成功)から、組織(社員)の成功(幸福)へとつなげていく段階である。組織を構成する者の「心」、「知識」、「行動」を掛け合わせて最大成果を挙げることである(心を正し、学習を続けて、行動すること)。
自利利他の精神は当然のことながら、社内、社員だけではなく、お客様に広がっていき、地域から日本へ、日本から世界へと広がっていくことになる。これは、近江商人の「三方良し」の精神と同じである(「三方良し」とは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方が良いということ。売り手も買い手も満足して幸せで、社会貢献もできているのが良い商売だということ)。社員が幸福になるだけではなく、お客様も幸福になり、社会も繁栄して幸福になる姿である。経営者の志としては、地球レベルの繁栄までを目標にしていただきたい。
なお、組織として成果を上げるには、知識を経済的な価値に転換する行動が必要になる。その行動として5つの行動を論じたが、それらを起点にしてイノベーションの4つの機能、その他の経営手法を実践していただくと良いだろう。
以上、段階論によって仏教的経営成功法を説明した。本論考の説明はこれで終了である。
最後に申し上げたいことは、こうした成功法を実践するためには、自分の怠け心や弱き心に打ち勝たなければならないということだ。 時間に耐えることも必要になる。
何かを行動すると、誰かが反対をするかもしれない。
やったことがないことをやるとき、自信がないかもしれない。
変化を恐れるかもしれない。
また、失敗してお金を失ったらどうしようとネガティブになることもあるだろう。
想像していたより面倒だなと思って、モチベーションが上がらないこともあるかもしれない。
忙しいから、やる時間がないと思うこともあるだろう。
しかし、それら全部のネガティブな感情や思考に負けてしまってはいけないのだ!
もし自分の心を見つめて、
向上しようとする心、
仕事を通じて人々を幸福にしようという心、
情熱のようなものがあるならば、
その情熱を大きくして、怠け心に打ち勝っていただきたい!
光を強くして、ネガティブな感情に打ち勝っていただきたい!
仏教に「抜苦与楽」(ばっくよらく)という言葉がある。「苦しみを取り除き、幸福にする」という意味である。 経営がうまくいけば、消えていく闇や不幸は多いのだ。
この世には光を求めている人がたくさんいる。
一人一人の心に光が必要である。愛が必要である。
誰かが愛や光を与えていかなければならない。
たとえ、小さくとも。
仕事がうまくいって、家庭が幸せになって繁栄している社会をつくっていきたい。
貧乏に苦しむ家庭を一つでも減らしていきたい。
創る製品が美しい、そうした会社を応援したい。
提供するサービスに美がある、そうした会社を応援したい。
企業が発する「愛と美」が、日本に広がって、海外に広がっていくのをみたい。
一所懸命に頑張っている経営者を応援したい。
仏教的経営成功法は、こうした願いから生まれた。
完
<次回は、「あとがき」です>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。