三つ目に、中小企業庁のデータでは5%と少ないが、「放漫経営」も倒産理由の括りの一つに入れておきたい。
なぜなら、事例の研究をしていると、経営トップが放漫経営をしているケースがたくさん存在したからである。野口氏は前掲書で倒産原因の第一位を「経営者の高慢、経営能力の過信」としている。
失敗する経営トップは、成功しているときに気持ちが大きくなり、過大な設備投資をしたり、儲からない不動産投資をしたり、工場を大幅に改築したり、人員を一度に増大したりしているケースが多い。
あるいは、次から次へ企業を買収し企業規模を大きくして、結果的に不採算の子会社を複数持ってしまうケースもある。赤字の会社でも自分だったら黒字にできると思いこむ。ところが実際は、不採算の企業にはそれなりの理由があって不採算になっているのであり、その赤字子会社への貸付金が焦げ付いてしまい、買収元の親会社の資金繰りが悪化して倒産してしまうようなこともある。
また、中小企業庁の倒産原因にあった「既往のしわよせ」は、過去の複数の失敗をそのままにしておいて、気が付いたら倒産していたというケースなので、「放漫経営」の一部として分類する。
最後の四つ目は「お人好し」である。
倒産事例を研究すると、お人好しで悪い人間に騙されているケースもかなり見受けられた。簡単に連帯保証人になったり、融通手形を頼まれて簡単に応じたりして、破産している経営トップがいた。
これらは、人生の悪に対する知見、知識の無さである。
あるいは、撤退すべきであると分かっていても「良い人だと見られたい」といった欲があって、リストラもできない、事業の撤退もできないという経営者がいる。真面目だけれども、お人好しで、優柔不断、悪に対する知見の無い経営トップを「未熟さ」として分類した。
これで一般的な倒産原因を4つまでしぼることができた。
(a) 販売不振
(b) 外部環境の変化
(c) 放漫経営
(d) お人好し
これらの4つは、一般的に考えられている倒産原因を使って絞り込み、まとめたものである。
大事なことは、これら4つの表面的な原因の奥にある真の原因を見抜くことである。
みなさんも考えていただきたい。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
なぜなら、事例の研究をしていると、経営トップが放漫経営をしているケースがたくさん存在したからである。野口氏は前掲書で倒産原因の第一位を「経営者の高慢、経営能力の過信」としている。
失敗する経営トップは、成功しているときに気持ちが大きくなり、過大な設備投資をしたり、儲からない不動産投資をしたり、工場を大幅に改築したり、人員を一度に増大したりしているケースが多い。
あるいは、次から次へ企業を買収し企業規模を大きくして、結果的に不採算の子会社を複数持ってしまうケースもある。赤字の会社でも自分だったら黒字にできると思いこむ。ところが実際は、不採算の企業にはそれなりの理由があって不採算になっているのであり、その赤字子会社への貸付金が焦げ付いてしまい、買収元の親会社の資金繰りが悪化して倒産してしまうようなこともある。
また、中小企業庁の倒産原因にあった「既往のしわよせ」は、過去の複数の失敗をそのままにしておいて、気が付いたら倒産していたというケースなので、「放漫経営」の一部として分類する。
最後の四つ目は「お人好し」である。
倒産事例を研究すると、お人好しで悪い人間に騙されているケースもかなり見受けられた。簡単に連帯保証人になったり、融通手形を頼まれて簡単に応じたりして、破産している経営トップがいた。
これらは、人生の悪に対する知見、知識の無さである。
あるいは、撤退すべきであると分かっていても「良い人だと見られたい」といった欲があって、リストラもできない、事業の撤退もできないという経営者がいる。真面目だけれども、お人好しで、優柔不断、悪に対する知見の無い経営トップを「未熟さ」として分類した。
これで一般的な倒産原因を4つまでしぼることができた。
(a) 販売不振
(b) 外部環境の変化
(c) 放漫経営
(d) お人好し
これらの4つは、一般的に考えられている倒産原因を使って絞り込み、まとめたものである。
大事なことは、これら4つの表面的な原因の奥にある真の原因を見抜くことである。
みなさんも考えていただきたい。
<続く>
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