アメリカやヨーロッパの経済状態を見ていますと、今までの経済学や経営学、経営理論の限界が来ているのかなという気がしています。
また、世界で有名なコンサルティング会社のコンサル手法も、問題解決能力に乏しいなと思ってしまいますね。
「戦略の神様」といわれるマイケル・E・ポーターの『競争の戦略』がありますけれども、私は「後づけで市場環境を分析して体系化している」だけにしか見えないんですが、ポーターの競争戦略理論で現在の企業を蘇らせることができるのか疑問です。
一世を風靡した『コア・コンピタンス経営』(C・K・プラハラード、ゲイリー・ハメル)で絶賛された企業、EDS社はヒューレット・パッカード社に買収されてしまいました。
『エクセレント・カンパニー』(トーマス・J・ピーターズ他)に紹介されていた企業14社のうち、10社が倒産又は買収されています。
また、『ブルー・オーシャン戦略』(W・チャン・キム、レニー・モボルニュ)もありましたけど、そんなブルー・オーシャンなんてあるんでしょうか(苦笑)?
「ゲーム理論」もありますけど、経営に活かせるんでしょうかね?
ボストン・コンサルティングやマッキンゼーとか、巨大なコンサルティング会社がありますけど、世界の企業を救うような経営理論を出してもらいたいものです。
マッキンゼーといえば、大前研一さんがいます。大前さんは雑誌『サピオ』に「増税か、デフォルトかの二者択一しかない」と日本のことを言っています。私はギリシャのことを書いているのかと思ったのですが、日本のことを書いていまして(笑)、びっくりしてしまいました。
国債のほとんどが自国通貨建てで、かつ購入しているのが日本の金融機関、機関投資家、日本人が90%以上を占めている日本がデフォルトするはずはありません。
そう言えば、私が尊敬する長谷川慶太郎さんも「国債が紙くずになる」(!?)とおっしゃっています。
最近の長谷川慶太郎さんの予測を読んでいても、外れるものが出てきていますけど、あれだけの識者でも「これからの世界は読めないのかなぁ」と思ってしまいます。
著名なエコノミストでも、これからの見通しは読めないし、今の経営学、経済学や経営理論では解決方法を見出すのは難しいと言えるのでしょうね。
<続く>
また、世界で有名なコンサルティング会社のコンサル手法も、問題解決能力に乏しいなと思ってしまいますね。
「戦略の神様」といわれるマイケル・E・ポーターの『競争の戦略』がありますけれども、私は「後づけで市場環境を分析して体系化している」だけにしか見えないんですが、ポーターの競争戦略理論で現在の企業を蘇らせることができるのか疑問です。
一世を風靡した『コア・コンピタンス経営』(C・K・プラハラード、ゲイリー・ハメル)で絶賛された企業、EDS社はヒューレット・パッカード社に買収されてしまいました。
『エクセレント・カンパニー』(トーマス・J・ピーターズ他)に紹介されていた企業14社のうち、10社が倒産又は買収されています。
また、『ブルー・オーシャン戦略』(W・チャン・キム、レニー・モボルニュ)もありましたけど、そんなブルー・オーシャンなんてあるんでしょうか(苦笑)?
「ゲーム理論」もありますけど、経営に活かせるんでしょうかね?
ボストン・コンサルティングやマッキンゼーとか、巨大なコンサルティング会社がありますけど、世界の企業を救うような経営理論を出してもらいたいものです。
マッキンゼーといえば、大前研一さんがいます。大前さんは雑誌『サピオ』に「増税か、デフォルトかの二者択一しかない」と日本のことを言っています。私はギリシャのことを書いているのかと思ったのですが、日本のことを書いていまして(笑)、びっくりしてしまいました。
国債のほとんどが自国通貨建てで、かつ購入しているのが日本の金融機関、機関投資家、日本人が90%以上を占めている日本がデフォルトするはずはありません。
そう言えば、私が尊敬する長谷川慶太郎さんも「国債が紙くずになる」(!?)とおっしゃっています。
最近の長谷川慶太郎さんの予測を読んでいても、外れるものが出てきていますけど、あれだけの識者でも「これからの世界は読めないのかなぁ」と思ってしまいます。
著名なエコノミストでも、これからの見通しは読めないし、今の経営学、経済学や経営理論では解決方法を見出すのは難しいと言えるのでしょうね。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
前回は今までの経営学、経営理論や経済学では解決が難しく、世界的なコンサルティング会社でも現代の経済経営に対する有効な手立ては難しいだろうと述べました。
また、著名なエコノミストやコンサルタントでも、今後の展開が非常に読みにくいとお話をしました。
ま、そんな大変な時代ですけど、やはりピーター・F・ドラッカーは偉大でしたね。
他の経営理論や経営手法、コンサル手法は、観念的といいますか、成功している企業を分析して「語呂合わせ」(例えば3Cのように)で体系化している印象があります。
しかし、ドラッカーはビジネス(経営)や社会の本質を突いて、理論が体系化されていたと思います。
ただ中堅、中小企業はドラッカーの書物だけを頼りにすると、うまくいかないのではないでしょうか。
『現代の経営』や『マネジメント』等、ドラッカーの名著があります。
されど、これらの名著を読んで、その理論を中小企業が実践しようとすると「内部管理」に重きが行って失敗する可能性があります。ドラッカーは内部管理を説いているわけではないのですが、「経営管理」と聞くと、どうしても内部管理や社内の管理に思いが向きがちになるからです。
また、ドラッカーの理論を咀嚼し、経営に活かすには、ある程度の経営資源が必要です。それには「学習する組織」などが求められるでしょう(詳しい説明は別の機会に)。
じゃあ、どうすれば良いかということになりますけど、私がお薦めするのは、経営コンサルタントの一倉定(いちくらさだむ)さんですね。
中堅、中小企業が参考にすべき理論は一倉定さんの「社長学」ですね。
ただ、残念ながら一倉さんも亡くなられていまして、現在では本からしか学ぶことはできません。(「本からしか」と書いていますけど、直接指導を受けなくても書物から学べることの方が大きいこともあります。ただし、本は大手書店でも店頭では手に入りません。それと、弟子もいないそうです)。
私は20年前から一倉さんの「社長学」を勉強していましたし、たまたま一倉定さんのコンサルを受けた会社に勤めたことがありますので、その指導が会社にどのような変化をもたらしたかを見ることができました。
また、一倉定さんが尊敬し参考にしていたS精密の専務さんのセミナー(S精密の専務さんが数社のためだけに開いている非公開の財務・資金繰りの塾。たまたま私が勤めていた会社がそのメンバーだったので参加した経験がある)を学んだこともあります。
私のコンサルも、基本は一倉定さんの理論を参考にしながら、その他の経営戦略(ランチェスター戦略など多数)やドラッカーの考え方や人間学(ビジネスは人間が行うので、人間についての認識がとても大切なため)をミックスし、アレンジしたオリジナルなものにしています。
ドラッカーは私が最も尊敬する人ではありますが、社員規模が500人くらいまでの企業はドラッカーではなく、一倉定さんの書物を手に入れて勉強された方が成果は上がると思いますね。
ただし、一倉理論にも考慮しなければならない点があります。
<続く>
また、著名なエコノミストやコンサルタントでも、今後の展開が非常に読みにくいとお話をしました。
ま、そんな大変な時代ですけど、やはりピーター・F・ドラッカーは偉大でしたね。
他の経営理論や経営手法、コンサル手法は、観念的といいますか、成功している企業を分析して「語呂合わせ」(例えば3Cのように)で体系化している印象があります。
しかし、ドラッカーはビジネス(経営)や社会の本質を突いて、理論が体系化されていたと思います。
ただ中堅、中小企業はドラッカーの書物だけを頼りにすると、うまくいかないのではないでしょうか。
『現代の経営』や『マネジメント』等、ドラッカーの名著があります。
されど、これらの名著を読んで、その理論を中小企業が実践しようとすると「内部管理」に重きが行って失敗する可能性があります。ドラッカーは内部管理を説いているわけではないのですが、「経営管理」と聞くと、どうしても内部管理や社内の管理に思いが向きがちになるからです。
また、ドラッカーの理論を咀嚼し、経営に活かすには、ある程度の経営資源が必要です。それには「学習する組織」などが求められるでしょう(詳しい説明は別の機会に)。
じゃあ、どうすれば良いかということになりますけど、私がお薦めするのは、経営コンサルタントの一倉定(いちくらさだむ)さんですね。
中堅、中小企業が参考にすべき理論は一倉定さんの「社長学」ですね。
ただ、残念ながら一倉さんも亡くなられていまして、現在では本からしか学ぶことはできません。(「本からしか」と書いていますけど、直接指導を受けなくても書物から学べることの方が大きいこともあります。ただし、本は大手書店でも店頭では手に入りません。それと、弟子もいないそうです)。
私は20年前から一倉さんの「社長学」を勉強していましたし、たまたま一倉定さんのコンサルを受けた会社に勤めたことがありますので、その指導が会社にどのような変化をもたらしたかを見ることができました。
また、一倉定さんが尊敬し参考にしていたS精密の専務さんのセミナー(S精密の専務さんが数社のためだけに開いている非公開の財務・資金繰りの塾。たまたま私が勤めていた会社がそのメンバーだったので参加した経験がある)を学んだこともあります。
私のコンサルも、基本は一倉定さんの理論を参考にしながら、その他の経営戦略(ランチェスター戦略など多数)やドラッカーの考え方や人間学(ビジネスは人間が行うので、人間についての認識がとても大切なため)をミックスし、アレンジしたオリジナルなものにしています。
ドラッカーは私が最も尊敬する人ではありますが、社員規模が500人くらいまでの企業はドラッカーではなく、一倉定さんの書物を手に入れて勉強された方が成果は上がると思いますね。
ただし、一倉理論にも考慮しなければならない点があります。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
前回は、日本の中堅、中小企業は一倉定さんの「社長学」を参考にすると良いとお話ししました。
ただし、一倉理論にも弱点といいますか、考慮しなければならない点があります。
それは、一倉定さんの経営理論は“インフレ”時代のものだということです。
確かに不況期の経営についてのアドバイスはたくさんあるのですが、今の日本のような“デフレ”環境の元で書かれたものではありません。
これは一倉さんの著書に限らず、デフレ時代に成功する経営方法を、ある程度まとめて理論立てしたものというのは、まだないのではないでしょうか(ユニクロの柳井社長のようにデフレ時代に成功した人の自伝的な書物はあります)。
現代の経済学や経営学、ビジネス論はインフレ時代に作られたものです。デフレに対応し体系化され、かつ成果を上げた経営理論というのは、まだ現れていないと思います。
インフレを前提にしてビジネスを考えるのと、デフレを前提に考えるのとでは、真逆になります。
それゆえ、一倉定さんの著書に限らず、経営に関する理論書を読むときには、著者が経済基調をインフレかデフレのどちらを前提にして書いているのかを注意しなければなりません。
これが一点です。
それから、もう一点。
一倉理論では「社長」のみに重点が置かれ、社員を軽視しているところがあります。会社は社長一人で決まるから、社員はほとんど「どうでもいい」存在と見なされています。
ここはドラッカーと対照的です。ドラッカーは、教育の大切さや知識の大切さを述べていますし、社員の“強み”を活かす人事を薦めています。
ところが、一倉定さんは「社員は、さぼるものだ。人材は社内にはいない。できるやつは自分で社長になっている。人材待望論は間違いである。」という感じですね。
ある意味、マキアベリズムからいくと一倉さんの意見は真実なのかもしれません。
しかし、社員に素晴らしい人材はいますし、社員の強みを活かすというドラッカーの発想の方が「組織として戦える」ので、私はドラッカーの意見の方が正しいと思っています。
ただ一倉さんが言いたかったことを推察しますと、社長は「社員に頼るな」ということだと思います。社員の中に人材を探して、会社を何とかしてもらおうと思うのではなく、経営トップである社長が何とかしろ!ということなんでしょう。
「経営に対する厳しい姿勢、命をかける気持ちが社長になくてどうする!」というのが一倉さんの思いだと私は推察しています。
<続く>
ただし、一倉理論にも弱点といいますか、考慮しなければならない点があります。
それは、一倉定さんの経営理論は“インフレ”時代のものだということです。
確かに不況期の経営についてのアドバイスはたくさんあるのですが、今の日本のような“デフレ”環境の元で書かれたものではありません。
これは一倉さんの著書に限らず、デフレ時代に成功する経営方法を、ある程度まとめて理論立てしたものというのは、まだないのではないでしょうか(ユニクロの柳井社長のようにデフレ時代に成功した人の自伝的な書物はあります)。
現代の経済学や経営学、ビジネス論はインフレ時代に作られたものです。デフレに対応し体系化され、かつ成果を上げた経営理論というのは、まだ現れていないと思います。
インフレを前提にしてビジネスを考えるのと、デフレを前提に考えるのとでは、真逆になります。
それゆえ、一倉定さんの著書に限らず、経営に関する理論書を読むときには、著者が経済基調をインフレかデフレのどちらを前提にして書いているのかを注意しなければなりません。
これが一点です。
それから、もう一点。
一倉理論では「社長」のみに重点が置かれ、社員を軽視しているところがあります。会社は社長一人で決まるから、社員はほとんど「どうでもいい」存在と見なされています。
ここはドラッカーと対照的です。ドラッカーは、教育の大切さや知識の大切さを述べていますし、社員の“強み”を活かす人事を薦めています。
ところが、一倉定さんは「社員は、さぼるものだ。人材は社内にはいない。できるやつは自分で社長になっている。人材待望論は間違いである。」という感じですね。
ある意味、マキアベリズムからいくと一倉さんの意見は真実なのかもしれません。
しかし、社員に素晴らしい人材はいますし、社員の強みを活かすというドラッカーの発想の方が「組織として戦える」ので、私はドラッカーの意見の方が正しいと思っています。
ただ一倉さんが言いたかったことを推察しますと、社長は「社員に頼るな」ということだと思います。社員の中に人材を探して、会社を何とかしてもらおうと思うのではなく、経営トップである社長が何とかしろ!ということなんでしょう。
「経営に対する厳しい姿勢、命をかける気持ちが社長になくてどうする!」というのが一倉さんの思いだと私は推察しています。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
前回は、中小企業が参考にした方がいいのは一倉定さんの経営理論だが、インフレ時代の理論であるなど、考慮しなければならない点があると述べました。
さて、ネクスト・ソサエティが、「どのような社会になって、経営者やビジネスマンはどう生きていけば良いのか、何を参考にして経営をしていけばいいのか」を、ここからは考えてみたいと思います。
まず日本のネクスト・ソサエティはデフレ社会であることを認識しなければなりません(ただし、大きな戦争や天変地異が起きるとインフレになる可能性はあります。その可能性はありますけれども、現状ではデフレを前提に考えなければビジネスを誤ってしまいます。)。
経済学や経営学や、経営戦略、コンサルティング手法は、ほとんどがインフレ時代に作られたものですから、デフレ時代に合わないものがあります。
一つは借入金に対する考え方です。
(古賀注;以下の説明はデフレ期の一般的な対応です。資金繰りが苦しい会社は、銀行からの借入金をお薦めします。また、世界大恐慌レベルの危機に備える場合には、別の考え方もあります。それにつきましては、2012年1月14日のブログに書いています)
一倉定さんは「借りられるだけの長期借入金を最大限に借りよ!」という主張をされていました。
経営者の方でも、ビジネスとは「銀行からお金を借りて、それを設備に投資したり、人員を増やしたりして、事業を拡大していくのが当たり前だろう」と考えておらえる方も多いでしょう。
インフレ時代には、お金の価値が毎年下がっていきますので、お金を借りれば借りるほど、現在借りたお金が未来には価値が下がり、実質借金が下がることになるため借入することは有利なことでした。
ところが、デフレだとお金の価値が毎年上がって行きます。いくら金利が今安くとも、お金の価値が未来に上がって行きますので、未来に行けば行くほど借金の負担は実質上がることになります。
ですから、ネクスト・ソサエティの企業経営は、借金をしない経営が正しい経営の方向だと思うのです。松下幸之助さんが生前におっしゃっていた“ダム経営”(会社に資金をできるだけたくさんプールしていく)が正解なんだろうなと思います。
会社を創業するのなら、銀行から借金をせずに、出資金を集めるか、自分で資金を用意して会社をスタートすると良いということになります。
あるいは、既に経営をしていて借金があるのなら、これ以上借金をしない経営をしていく、つまり儲かっていない事業を売却するか撤退することですね。
そして固定費(人件費、事務所経費等)をできるだけ減らしていくことです。
日本ではバブル崩壊後に「業界再編」とかいって、競合企業が合併を繰り返しています。都市銀行なんて、元の銀行が分からないです。
確かに市場占有率を上げるには、競合と合併するのが手っ取り早いです。
しかし、ネクスト・ソサエティでは、合併ではなく、「分割、分離」がトレンドとして考えられるのではないでしょうか。
儲かる事業だけを残し、他の事業を分離(小さな企業体になる)・売却して生き残っていく方法も良いのかなと思います。
拡大ではなく、できるだけスリムになって、動きやすい、機動力のある組織へ変革するのが、ネクスト・ソサエティでの企業戦略になってくるように思います。
<続く>
さて、ネクスト・ソサエティが、「どのような社会になって、経営者やビジネスマンはどう生きていけば良いのか、何を参考にして経営をしていけばいいのか」を、ここからは考えてみたいと思います。
まず日本のネクスト・ソサエティはデフレ社会であることを認識しなければなりません(ただし、大きな戦争や天変地異が起きるとインフレになる可能性はあります。その可能性はありますけれども、現状ではデフレを前提に考えなければビジネスを誤ってしまいます。)。
経済学や経営学や、経営戦略、コンサルティング手法は、ほとんどがインフレ時代に作られたものですから、デフレ時代に合わないものがあります。
一つは借入金に対する考え方です。
(古賀注;以下の説明はデフレ期の一般的な対応です。資金繰りが苦しい会社は、銀行からの借入金をお薦めします。また、世界大恐慌レベルの危機に備える場合には、別の考え方もあります。それにつきましては、2012年1月14日のブログに書いています)
一倉定さんは「借りられるだけの長期借入金を最大限に借りよ!」という主張をされていました。
経営者の方でも、ビジネスとは「銀行からお金を借りて、それを設備に投資したり、人員を増やしたりして、事業を拡大していくのが当たり前だろう」と考えておらえる方も多いでしょう。
インフレ時代には、お金の価値が毎年下がっていきますので、お金を借りれば借りるほど、現在借りたお金が未来には価値が下がり、実質借金が下がることになるため借入することは有利なことでした。
ところが、デフレだとお金の価値が毎年上がって行きます。いくら金利が今安くとも、お金の価値が未来に上がって行きますので、未来に行けば行くほど借金の負担は実質上がることになります。
ですから、ネクスト・ソサエティの企業経営は、借金をしない経営が正しい経営の方向だと思うのです。松下幸之助さんが生前におっしゃっていた“ダム経営”(会社に資金をできるだけたくさんプールしていく)が正解なんだろうなと思います。
会社を創業するのなら、銀行から借金をせずに、出資金を集めるか、自分で資金を用意して会社をスタートすると良いということになります。
あるいは、既に経営をしていて借金があるのなら、これ以上借金をしない経営をしていく、つまり儲かっていない事業を売却するか撤退することですね。
そして固定費(人件費、事務所経費等)をできるだけ減らしていくことです。
日本ではバブル崩壊後に「業界再編」とかいって、競合企業が合併を繰り返しています。都市銀行なんて、元の銀行が分からないです。
確かに市場占有率を上げるには、競合と合併するのが手っ取り早いです。
しかし、ネクスト・ソサエティでは、合併ではなく、「分割、分離」がトレンドとして考えられるのではないでしょうか。
儲かる事業だけを残し、他の事業を分離(小さな企業体になる)・売却して生き残っていく方法も良いのかなと思います。
拡大ではなく、できるだけスリムになって、動きやすい、機動力のある組織へ変革するのが、ネクスト・ソサエティでの企業戦略になってくるように思います。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
前回は、日本のネクスト・ソサエティ(次の社会、未来社会)はデフレ社会である。デフレではインフレとは違う戦略を取らなければならない。その一つに銀行から借入があり、ネクスト・ソサエティでは借入をしない経営が求められるのではないかというお話をしました。
実はこの考えは新しいものではなく、1998年に出版された『稲盛和夫の実学』にも書いてあります。読まれた方は「土俵の真ん中で相撲をとる」という稲盛和夫さんの言葉を覚えておられるかもしれません。
稲盛和夫さんは松下幸之助さんの「ダム式経営」と同じ考えで無借金経営を考えておられたようですね。
インフレの時代にはたくさんお金を銀行に借りて、事業を広範囲に拡大していくのが上策だったと思います。
しかし、デフレの時代には借金をすることは、あとあとボディーブローのように効いてきます。
すぐに無借金経営は難しいとは思いますが、稲森さんが「どうしても無借金経営でなければならない」と思って無借金経営を実現したように、ネクスト・ソサエティに経営をする社長の皆様も、無借金経営を少しずつでも進めていただけたらと思います。
特に来年以降は“世界大恐慌”の恐れがあります。売上が半減することがあるかもしれません。
そんな時に強いのは「お客様を持っている会社」はもちろんですが、もう一つは「キャッシュ」を持っている会社です。お金、資金をたくさん持っている会社が強いです。
儲かっている会社も節税のためにとはいえ、キャッシュアウトをなるべくしないようにして下さい。税金を払っても、その方が少しでも会社に内部留保が残るようでしたら、税金を払うことを考えて下さい(生命保険やリースを使う節税は「キャッシュアウト」が伴います。)。
稲森さんが言われた「キャッシュベース」の経営が、ネクスト・ソサエティの経営の姿になると思います。
さて、そのためには、中小企業は外部の専門家をうまく使うのが良いでしょう。
中小企業では、経営企画や財務部門の専門家を雇う余裕が無い所が多いと思います。
いや、逆に雇わない方が良いでしょう。
経営企画や財務の人間は社内に常駐する必要はないわけですから、週に一回や二週間に一回、社内に来てもらう、あるいは困ったときに連絡して来てもらうか、対応してもらうような形でアウトソーシングすると、人を一人雇うよりもコストが安くなります。
変な話ですが、人を雇うと辞める心配がありますし、ハズレを引いた時のリスクもあります。両方にリスクがありますから、アウトソーシングを上手に使って「ダメなら即解約して別の会社に」当たれば良いのです。
ネクスト・ソサエティでは、外注(アウトソーシング)の使い方がポイントになります。
本当に“会社に”必要な部門と人だけを雇うようにして、あとは全て外注できないかを検討してみてください。
きちんと計算すれば、外注か内製か、どちらがキャッシュ上有利か分かります。計算して比較の上、判断するようにしてくださいね。
これからはなるべく固定費をかけず、キャッシュをたくさん持つことがポイントだと思います。
ただし、専門家といっても、確定申告書を作るだけの税理士さんのような専門家ではだめです。節税も方法が限られていますし、税務署と見解が相違すれば、結局は税金は取られるので、節税に詳しい税理士さんといっても、あまり当てにしない方がいいでしょう。
経営の発想がある人、財務の考えが分かる人に頼むべきです。お金の正しい使い方が分かる人に頼むのが良いでしょう。
<続く>
実はこの考えは新しいものではなく、1998年に出版された『稲盛和夫の実学』にも書いてあります。読まれた方は「土俵の真ん中で相撲をとる」という稲盛和夫さんの言葉を覚えておられるかもしれません。
稲盛和夫さんは松下幸之助さんの「ダム式経営」と同じ考えで無借金経営を考えておられたようですね。
インフレの時代にはたくさんお金を銀行に借りて、事業を広範囲に拡大していくのが上策だったと思います。
しかし、デフレの時代には借金をすることは、あとあとボディーブローのように効いてきます。
すぐに無借金経営は難しいとは思いますが、稲森さんが「どうしても無借金経営でなければならない」と思って無借金経営を実現したように、ネクスト・ソサエティに経営をする社長の皆様も、無借金経営を少しずつでも進めていただけたらと思います。
特に来年以降は“世界大恐慌”の恐れがあります。売上が半減することがあるかもしれません。
そんな時に強いのは「お客様を持っている会社」はもちろんですが、もう一つは「キャッシュ」を持っている会社です。お金、資金をたくさん持っている会社が強いです。
儲かっている会社も節税のためにとはいえ、キャッシュアウトをなるべくしないようにして下さい。税金を払っても、その方が少しでも会社に内部留保が残るようでしたら、税金を払うことを考えて下さい(生命保険やリースを使う節税は「キャッシュアウト」が伴います。)。
稲森さんが言われた「キャッシュベース」の経営が、ネクスト・ソサエティの経営の姿になると思います。
さて、そのためには、中小企業は外部の専門家をうまく使うのが良いでしょう。
中小企業では、経営企画や財務部門の専門家を雇う余裕が無い所が多いと思います。
いや、逆に雇わない方が良いでしょう。
経営企画や財務の人間は社内に常駐する必要はないわけですから、週に一回や二週間に一回、社内に来てもらう、あるいは困ったときに連絡して来てもらうか、対応してもらうような形でアウトソーシングすると、人を一人雇うよりもコストが安くなります。
変な話ですが、人を雇うと辞める心配がありますし、ハズレを引いた時のリスクもあります。両方にリスクがありますから、アウトソーシングを上手に使って「ダメなら即解約して別の会社に」当たれば良いのです。
ネクスト・ソサエティでは、外注(アウトソーシング)の使い方がポイントになります。
本当に“会社に”必要な部門と人だけを雇うようにして、あとは全て外注できないかを検討してみてください。
きちんと計算すれば、外注か内製か、どちらがキャッシュ上有利か分かります。計算して比較の上、判断するようにしてくださいね。
これからはなるべく固定費をかけず、キャッシュをたくさん持つことがポイントだと思います。
ただし、専門家といっても、確定申告書を作るだけの税理士さんのような専門家ではだめです。節税も方法が限られていますし、税務署と見解が相違すれば、結局は税金は取られるので、節税に詳しい税理士さんといっても、あまり当てにしない方がいいでしょう。
経営の発想がある人、財務の考えが分かる人に頼むべきです。お金の正しい使い方が分かる人に頼むのが良いでしょう。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
前回は日本のネクスト・ソサエティでは無借金経営が求められることと、外注や外部の専門家を上手に使って固定費を下げる話をしました。
さて最近の話題の一つに円高があります。
円高になると、すぐテレビに深刻な経営者の顔が登場します。私が不思議に思っているのは、「円建てで貿易をしている会社はないのかなぁ」ということです。
ドル建てで貿易をすると為替のリスクがいつもつきまといますから、対処している企業はどれくらいあるのだろうと思ったんですね。
すると、2011年の上半期、円建て輸出の割合は全体の42.2%もあるそうです。
意外や意外、円高で悲鳴を上げているのは、輸出全体の60%未満なんですね。
そして、日本の輸出依存度はGDPの“たった”11.4%なので、円高で困っている企業は実はそんなに多くないのかもしれません(G20の中で日本より輸出依存度が低い国は、アメリカとブラジルのみ)。
テレビで深刻な経営者の顔を映して放映すると、ほとんどの日本企業が円高に泣いている印象を受けてしまいますけど、実際のところは(少なくとも私が思っていたよりは)少ないのではないでしょうか。
それと私が思うのは、こうした外国為替のリスクに対応した保険商品はないのかなという素朴な疑問です。
為替はリスクであることは間違いないので、保険商品がもしあるのなら、輸出しているメーカーは入っておくべきでしょうし、無いのなら保険会社が新商品として検討すべきだと思いますね。
これはドラッカーも『ネクスト・ソサエティ』の中で書いていたことだと思います。保険商品としては面白いと思うんですけどね。
それから、こうした円高で悲鳴を上げているメーカーですけど、ネクスト・ソサエティでは農業のように補助金を受けるようになるのではないかと思います。
国が何らかの補助をして、その会社(製造業)に雇用と技術を守ってもらうという方法ですね。
私は今の農業が悪いと思っていませんし、悪い意味では言っているのではありません。
仕方がない部分として、円高で困っている製造業は現在の農業と同じような存在になるのではないかなと思っています。
しかし、円高で苦しんでいる企業がありますけど、ネクスト・ソサエティの日本では「円高」が強みになると思っています。
<続く>
さて最近の話題の一つに円高があります。
円高になると、すぐテレビに深刻な経営者の顔が登場します。私が不思議に思っているのは、「円建てで貿易をしている会社はないのかなぁ」ということです。
ドル建てで貿易をすると為替のリスクがいつもつきまといますから、対処している企業はどれくらいあるのだろうと思ったんですね。
すると、2011年の上半期、円建て輸出の割合は全体の42.2%もあるそうです。
意外や意外、円高で悲鳴を上げているのは、輸出全体の60%未満なんですね。
そして、日本の輸出依存度はGDPの“たった”11.4%なので、円高で困っている企業は実はそんなに多くないのかもしれません(G20の中で日本より輸出依存度が低い国は、アメリカとブラジルのみ)。
テレビで深刻な経営者の顔を映して放映すると、ほとんどの日本企業が円高に泣いている印象を受けてしまいますけど、実際のところは(少なくとも私が思っていたよりは)少ないのではないでしょうか。
それと私が思うのは、こうした外国為替のリスクに対応した保険商品はないのかなという素朴な疑問です。
為替はリスクであることは間違いないので、保険商品がもしあるのなら、輸出しているメーカーは入っておくべきでしょうし、無いのなら保険会社が新商品として検討すべきだと思いますね。
これはドラッカーも『ネクスト・ソサエティ』の中で書いていたことだと思います。保険商品としては面白いと思うんですけどね。
それから、こうした円高で悲鳴を上げているメーカーですけど、ネクスト・ソサエティでは農業のように補助金を受けるようになるのではないかと思います。
国が何らかの補助をして、その会社(製造業)に雇用と技術を守ってもらうという方法ですね。
私は今の農業が悪いと思っていませんし、悪い意味では言っているのではありません。
仕方がない部分として、円高で困っている製造業は現在の農業と同じような存在になるのではないかなと思っています。
しかし、円高で苦しんでいる企業がありますけど、ネクスト・ソサエティの日本では「円高」が強みになると思っています。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
円高がネクスト・ソサエティの日本では強みになるというところまで、前回は書きました。
その理由をお話しする前に、ネクスト・ソサエティがどういったものになるのかをできるだけ考えてみましょう。
ピーター・ドラッカーが『ネクスト・ソサエティ』の中で「ネクスト・ソサエティはまだ到来していない。しかし、ネクスト・ソサエティに備えてとるべき行動については検討できる段階に来ている」と書いています。
すなわち、我々は異質の次の社会(=ネクスト・ソサエティ)に入る“ほんの手前”いる状態だということですね。
ただ、どのような社会がやってくるのかを推測はできるということになります。
私が若いころの未来社会の絵というと、「リニアモータカーが走り、家の中には様々な電気製品がコンピュータ管理され、医療も格段の進歩をしている明るい未来」でした。
ところが現実はどうでしょう?
バラ色の未来というよりは、とてもギスギスした社会が到来していると思います。
確かに医療は発達しました。テレビも綺麗な画像が映り、携帯電話も益々便利なものになっています。
しかしながら、全てのものにスピードが求められるようになり(時間短縮や効率化)、人間の処理能力が追いつかなくなりつつあるように思えます。
ネクスト・ソサエティは知識社会であり、知識社会は「競争社会」です。
知識を得た人は成果をあげ、人の上に立つことができます。ところが、知識は日進月歩に新しくなるので、油断して知識を吸収していないと、より知識を持った者に簡単に負かされていきます。
通用しない知識を持っている人は落ちこぼれて、昨日の勝者が簡単に今日の敗者になってしまう厳しい社会が知識社会です。
既に今の日本がそうですね。
また、知識社会は成功者にも代償を求めます。これはナポレオン・ヒルも書いていたことですが、成功には代償が必要です。
成功するためには、相当勉強しなければなりません。そのためには費用も時間もかかります。ハードな仕事も要求されるでしょうから、家庭や恋愛を犠牲にすることもあるでしょう。
それに、成功者にも成功した者の精神的なストレスがあります。人間とは不思議なもので、一見成功していても、それ相応の重い苦しみがあるものです。
知識社会の競争の中に入ったら、勝ってもストレス、負けてもストレスなのです。
ネクスト・ソサエティへの備えを間違えると、夢の様な明るい未来(社会)ではなく、ギスギスしたとてもつらい未来がやってくると思います。
では、私たちはどうしたらいいのでしょうか?
それを次回考えてみたいと思います。
<続く>
その理由をお話しする前に、ネクスト・ソサエティがどういったものになるのかをできるだけ考えてみましょう。
ピーター・ドラッカーが『ネクスト・ソサエティ』の中で「ネクスト・ソサエティはまだ到来していない。しかし、ネクスト・ソサエティに備えてとるべき行動については検討できる段階に来ている」と書いています。
すなわち、我々は異質の次の社会(=ネクスト・ソサエティ)に入る“ほんの手前”いる状態だということですね。
ただ、どのような社会がやってくるのかを推測はできるということになります。
私が若いころの未来社会の絵というと、「リニアモータカーが走り、家の中には様々な電気製品がコンピュータ管理され、医療も格段の進歩をしている明るい未来」でした。
ところが現実はどうでしょう?
バラ色の未来というよりは、とてもギスギスした社会が到来していると思います。
確かに医療は発達しました。テレビも綺麗な画像が映り、携帯電話も益々便利なものになっています。
しかしながら、全てのものにスピードが求められるようになり(時間短縮や効率化)、人間の処理能力が追いつかなくなりつつあるように思えます。
ネクスト・ソサエティは知識社会であり、知識社会は「競争社会」です。
知識を得た人は成果をあげ、人の上に立つことができます。ところが、知識は日進月歩に新しくなるので、油断して知識を吸収していないと、より知識を持った者に簡単に負かされていきます。
通用しない知識を持っている人は落ちこぼれて、昨日の勝者が簡単に今日の敗者になってしまう厳しい社会が知識社会です。
既に今の日本がそうですね。
また、知識社会は成功者にも代償を求めます。これはナポレオン・ヒルも書いていたことですが、成功には代償が必要です。
成功するためには、相当勉強しなければなりません。そのためには費用も時間もかかります。ハードな仕事も要求されるでしょうから、家庭や恋愛を犠牲にすることもあるでしょう。
それに、成功者にも成功した者の精神的なストレスがあります。人間とは不思議なもので、一見成功していても、それ相応の重い苦しみがあるものです。
知識社会の競争の中に入ったら、勝ってもストレス、負けてもストレスなのです。
ネクスト・ソサエティへの備えを間違えると、夢の様な明るい未来(社会)ではなく、ギスギスしたとてもつらい未来がやってくると思います。
では、私たちはどうしたらいいのでしょうか?
それを次回考えてみたいと思います。
<続く>