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富の源泉とは? 前篇

2011.05.17(22:19) 799

今日から“富”について考えてみたいと思います。マルクス経済学は、「富を創造するものは人間の労働」と考えました。それは間違いだと、ピーター・ドラッカーさんは言っています。

そして、「富の源泉は知識である」と論じています。(『未来企業』(P.F.ドラッカー著、上田惇生他訳、ダイヤモンド社、1992年)


ここで言う“知識”ですが、日本語で読みますと、「学校で学ぶ知識」や「情報、データ」のような語感がありますが、どちらかというと、“智恵”の方が意味としては近いかなと思います。

孔明流に言い換えますと、「富の源泉は“智恵ある人物”である。」というところでしょうか。


では、智恵の元になる知識を、どうすれば創造できるかということが富の創造の鍵になりますね。

その回答として、野中郁次郎さんは「暗黙知と形式知のダイナミックな相互作用が知識創造の基本である」という仮説を立てられています(参考『知識創造の経営』野中郁次郎著、日本経済新聞社、1990年)。

暗黙知(あんもくち)とは、「主観的な経験や勘に基づく知のことで、言葉で表現が難しいもの」です。個人が持っている知・ノウハウや熟練工の技や信念などですね。

形式知(けいしきち)は、「言葉で表現できる客観的、論理的な知」ですね。文章は形式知です。

例えば、私が頭の中にある暗黙知を、ブログを書くことによって形式知に変換していますが、このブログも形式知になります。この変換の過程で知識が拡張されているということですね。

逆に、形式知、書物やマニュアルなどを読むことによって、人の内面に暗黙知が創造されていくことになります(形式知から暗黙知への変換)。

その他、「暗黙知から暗黙知への変換」、「形式知から形式知への変換」もありますけど、憶えていただきたいのは、「暗黙知と形式知が相互作用して知識の創造が起きる」ということですね。

また、大事なことは、知を作るのは個人なので、個人の持つ知である暗黙知が貧困では、質の高い知が創造できないということです。


今回は難しい内容で恐縮です。長くなりましたので、次回に続きを書きます。

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2011年05月17日
  1. 富の源泉とは? 前篇(05/17)