★お知らせ★
「仏教的経営成功法 エッセンシャル版」を「古賀光昭の公式サイト」に書きました。
このブログで書いた「仏教的経営成功法」の元の文章を半分くらいに縮め、少し分かりやすくなるように編集しなおしました(笑)。
エッセンシャル版は分かりやすくなるように、気づいた所から随時手を入れています。
『仏教的経営成功法』にご興味がある方は、ブログの文ではなく、こちらの方が読みやすいと思うので、こちらをご覧ください。
「仏教的経営成功法」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回からしばらく仏教的経営成功法のようなものをシリーズで書きます。(笑)
本論に入る前に、ちょっとお伝えしたいことがあります。
私の人生の目標の一つは、後世に「経営を成功に導く考え方の体系」を残すことです。
大それた目標ですが(笑)、ドラッカーの『マネジメント』や『現代の経営』のように、その体系を学んだ人が実際の経営に活かせるような、実践的な体系を生み出して、それを後世に残したいという希望を持っていました。
また、その体系は誰にも分かりやすく、シンプルであることを念頭に置いていました。複雑で難解な内容では汎用性がないからです。
そうしたことを考えながら、3年前に取り組みました。
経営成功法の体系を見つけるには、その逆の倒産の研究をすることが良いと思い、初めに倒産の事例を学びました。
そして、倒産事例の研究を始めて約1カ月で、体系は完成していました。
体系はすぐにできたのですが、それを文章にするのに3カ月かかりました(笑)。
時間はかかりましたが、オリジナルです(笑)。
私は宗教的な勉強を少しはしましたが、専門は英語学ですし、お坊さんではありませんし(笑)、どちらかというと光明思想や引き寄せの法則の方が好きです。
しかしながら、内容は「仏教思想」を経営成功に活かすと、こうなる!というものになっていると思います。
そして、3年間、世に出さずに手元に置いていました。
ここで、やっと出す決心をしました(笑)。
ちなみに、もともとは「仏教経営学」のようなタイトルで書いたいたのですが、友人から「学がつくと学問の方にいきますよ。成功法とかの方がいいのではないですか。」と言われたので、仏教経営成功学から、仏教経営成功法へとタイトルを替えました。
不思議ですね。タイトルを学から法に替えただけで、内容をたくさん書き換えることになりました(笑)。それだけ、学問的なところから実践的な方へとシフトしたのでしょう。
そして今後のコンサルでは、この「仏教的経営成功法」を自分の核にして仕事をしていこうと思っています。
では、これ以降、本論に入りますが、最初の方は「倒産事例の研究」について書いていて、論文のような内容になっています。学の名残です(笑)。
「倒産事例の研究」が難しそうに感じる方は、サラッと流してください(笑)。「倒産事例の研究」の後からが本題です(笑)。
<続く>
「仏教的経営成功法 エッセンシャル版」を「古賀光昭の公式サイト」に書きました。
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エッセンシャル版は分かりやすくなるように、気づいた所から随時手を入れています。
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「仏教的経営成功法」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回からしばらく仏教的経営成功法のようなものをシリーズで書きます。(笑)
本論に入る前に、ちょっとお伝えしたいことがあります。
私の人生の目標の一つは、後世に「経営を成功に導く考え方の体系」を残すことです。
大それた目標ですが(笑)、ドラッカーの『マネジメント』や『現代の経営』のように、その体系を学んだ人が実際の経営に活かせるような、実践的な体系を生み出して、それを後世に残したいという希望を持っていました。
また、その体系は誰にも分かりやすく、シンプルであることを念頭に置いていました。複雑で難解な内容では汎用性がないからです。
そうしたことを考えながら、3年前に取り組みました。
経営成功法の体系を見つけるには、その逆の倒産の研究をすることが良いと思い、初めに倒産の事例を学びました。
そして、倒産事例の研究を始めて約1カ月で、体系は完成していました。
体系はすぐにできたのですが、それを文章にするのに3カ月かかりました(笑)。
時間はかかりましたが、オリジナルです(笑)。
私は宗教的な勉強を少しはしましたが、専門は英語学ですし、お坊さんではありませんし(笑)、どちらかというと光明思想や引き寄せの法則の方が好きです。
しかしながら、内容は「仏教思想」を経営成功に活かすと、こうなる!というものになっていると思います。
そして、3年間、世に出さずに手元に置いていました。
ここで、やっと出す決心をしました(笑)。
ちなみに、もともとは「仏教経営学」のようなタイトルで書いたいたのですが、友人から「学がつくと学問の方にいきますよ。成功法とかの方がいいのではないですか。」と言われたので、仏教経営成功学から、仏教経営成功法へとタイトルを替えました。
不思議ですね。タイトルを学から法に替えただけで、内容をたくさん書き換えることになりました(笑)。それだけ、学問的なところから実践的な方へとシフトしたのでしょう。
そして今後のコンサルでは、この「仏教的経営成功法」を自分の核にして仕事をしていこうと思っています。
では、これ以降、本論に入りますが、最初の方は「倒産事例の研究」について書いていて、論文のような内容になっています。学の名残です(笑)。
「倒産事例の研究」が難しそうに感じる方は、サラッと流してください(笑)。「倒産事例の研究」の後からが本題です(笑)。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
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「仏教的経営成功法 エッセンシャル版」を「古賀光昭の公式サイト」に書きました。
このブログで書いた「仏教的経営成功法」の元の文章を半分くらいに縮め、少し分かりやすくなるように編集しなおしました(笑)。
エッセンシャル版は分かりやすくなるように、気づいた所から随時手を入れています。
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「仏教的経営成功法」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本論は、仏教思想を「現代の経営」に取り入れて、仏教思想によって経営を成功に導ける方法を体系化したものである。内容は完全なオリジナルとなっている。
もともとは「経営を成功させるにはどうすればよいか」を体系的にまとめたかっただけで、「仏教的」要素は全く頭になかった。
初めに考えたことは、「経営はなぜ失敗するのか」ということであった。
成功事例を集め、そこから成功の法則を分析、分類するのではなく、企業がなぜ失敗するのかを研究する方が企業の成功法則が見えてくるのではないかと考えたのである。失敗の原因を分析、分類し、それを防ぐ方法から、堅実な成功法則が見えてくるのではないだろうか。
そこで私は、倒産の事例できるだけたくさん集めることにした。
倒産は企業経営の最終の姿であり、経営者が意図しない倒産は最悪の結果である。最悪の結果だけに、経営の問題の様々な要因がすべて集約されていると思われる。倒産事例を数多く分析することによって、その共通原因を見つけ出すことができれば、その解決方法も自ずとできるのではないかと仮説を立てた。
倒産の事例を知るため、実際倒産に至った社長にインタビューもしたが、業種業界に関係なく万遍ない情報を得るために、書籍やデータなどにも数多く当り、偏りのない情報を得ることを考えた。
まず、帝国データバンクのデータを参照した。そして、同データバンク東京支社情報部による『〔緊急版〕会社はこうして潰れていく』(東京、中経出版、2009年)を読んでみた。しかしながら、このような書物は倒産という事象を、データ(社歴、従業員数、年商がいくらで、いくら負債があったなど)を中心に記述されているだけで、あまり参考にはならない。いつ、いくらの負債で倒産したといった「表面的に表れたデータ」では、問題の本質が掴みづらいからである。
そうした折に、私が以前勤めていた会社の社長が亡くなったとの連絡が入った。1年ほどしか勤めなかった会社だったが、社長にはずいぶん可愛がっていただいた思いがあったため、告別式に参加した。
参加者が思ったよりも少なく、会場が寂しい感じがした。遺影を見たときに、社長の寂しさが伝わってきたような気がした。
最後のお見送りが終わり、会場を出て、歩き始めたとたん、心にドシン!と入ってくるものがあった。
それは「経営者には、経営者特有の”四苦八苦”がある」という言葉だった。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
「仏教的経営成功法 エッセンシャル版」を「古賀光昭の公式サイト」に書きました。
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「仏教的経営成功法」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本論は、仏教思想を「現代の経営」に取り入れて、仏教思想によって経営を成功に導ける方法を体系化したものである。内容は完全なオリジナルとなっている。
もともとは「経営を成功させるにはどうすればよいか」を体系的にまとめたかっただけで、「仏教的」要素は全く頭になかった。
初めに考えたことは、「経営はなぜ失敗するのか」ということであった。
成功事例を集め、そこから成功の法則を分析、分類するのではなく、企業がなぜ失敗するのかを研究する方が企業の成功法則が見えてくるのではないかと考えたのである。失敗の原因を分析、分類し、それを防ぐ方法から、堅実な成功法則が見えてくるのではないだろうか。
そこで私は、倒産の事例できるだけたくさん集めることにした。
倒産は企業経営の最終の姿であり、経営者が意図しない倒産は最悪の結果である。最悪の結果だけに、経営の問題の様々な要因がすべて集約されていると思われる。倒産事例を数多く分析することによって、その共通原因を見つけ出すことができれば、その解決方法も自ずとできるのではないかと仮説を立てた。
倒産の事例を知るため、実際倒産に至った社長にインタビューもしたが、業種業界に関係なく万遍ない情報を得るために、書籍やデータなどにも数多く当り、偏りのない情報を得ることを考えた。
まず、帝国データバンクのデータを参照した。そして、同データバンク東京支社情報部による『〔緊急版〕会社はこうして潰れていく』(東京、中経出版、2009年)を読んでみた。しかしながら、このような書物は倒産という事象を、データ(社歴、従業員数、年商がいくらで、いくら負債があったなど)を中心に記述されているだけで、あまり参考にはならない。いつ、いくらの負債で倒産したといった「表面的に表れたデータ」では、問題の本質が掴みづらいからである。
そうした折に、私が以前勤めていた会社の社長が亡くなったとの連絡が入った。1年ほどしか勤めなかった会社だったが、社長にはずいぶん可愛がっていただいた思いがあったため、告別式に参加した。
参加者が思ったよりも少なく、会場が寂しい感じがした。遺影を見たときに、社長の寂しさが伝わってきたような気がした。
最後のお見送りが終わり、会場を出て、歩き始めたとたん、心にドシン!と入ってくるものがあった。
それは「経営者には、経営者特有の”四苦八苦”がある」という言葉だった。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
世界を変える若き企業家たちへ
「経営者には、経営者特有の四苦八苦がある」という言葉を家に持ち帰り、すぐに文字に表すことにした。
ところで、四苦八苦は仏教用語であるが、簡単に説明すると次のようになる。(参考書籍: 田上太秀監修 『図解 ブッダの教え』 東京、西東社、2013年)
四苦・・・生、老、病、死 (しょう、ろう、びょう、し)
八苦・・・四苦に社会生活上の苦しみ4つをたしたものを八苦という。
愛別離苦(あいべつりく。愛する者と別離する悲しみ)
怨憎会苦(おんぞうえく。会いたくない人とも会わなくてはいけない苦しみ)
求不得苦(ぐふとくく。求めても手に入らない苦しみ)
五蘊盛苦(ごうんじょうく。心身が思うとおりにならない苦しみ)
この仏教用語を経営者を対象にして置き換えてみる。
まず「生」(しょう)は、「生まれる苦しみ」である。
経営者に当てはめると「会社を創業する苦しみ」になる。
創業するには一定の資金が必要になるし、立ち上げ時には売上が上がらないなど苦労することも多い。サラリーマン時代には自分が稼ぐことはなくても給料が決まった日に振り込まれていた。ところが、経営者になると給料の保証がなく不安定な身分になってしまう。
また、現在の経済環境は厳しく、そうした条件の元で船出をすること自体が苦しみといえよう。
「老」は「老いる苦しみ」である。
経営者に当てはめると「会社が衰退していく苦しみ」である。
成長続ける会社や発展続ける会社はほとんどなく、商品やサービスの成熟化と衰退に伴い、会社自体が下り坂になることがある。あるいは、業界全体が衰退していくこともあるであろう。会社に勢いがなくなっていくことを実感する苦しみでもある。
「病」は「病気になる苦しみ」である。
社内コミュニケーションが取れずに、社内に不満がたまっているような会社が当てはまる。また、会社も社内で揉め事が起こることがある。お金を横領する者が出るかもしれないし、セクハラをする者も出るかもしれない。労働組合と折り合いがつかないこともあるであろう。あるいは、得意先や仕入先とトラブルになることだってあり得る。
そうした「会社内外での不満、摩擦、軋轢、トラブル」などが「病」にあたる。
また「大企業病や硬直的な官僚組織」になっている会社も当てはまるだろう。
「死」は死ぬ苦しみである。これはまさしく「会社が倒産する苦しみ」である。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
ところで、四苦八苦は仏教用語であるが、簡単に説明すると次のようになる。(参考書籍: 田上太秀監修 『図解 ブッダの教え』 東京、西東社、2013年)
四苦・・・生、老、病、死 (しょう、ろう、びょう、し)
八苦・・・四苦に社会生活上の苦しみ4つをたしたものを八苦という。
愛別離苦(あいべつりく。愛する者と別離する悲しみ)
怨憎会苦(おんぞうえく。会いたくない人とも会わなくてはいけない苦しみ)
求不得苦(ぐふとくく。求めても手に入らない苦しみ)
五蘊盛苦(ごうんじょうく。心身が思うとおりにならない苦しみ)
この仏教用語を経営者を対象にして置き換えてみる。
まず「生」(しょう)は、「生まれる苦しみ」である。
経営者に当てはめると「会社を創業する苦しみ」になる。
創業するには一定の資金が必要になるし、立ち上げ時には売上が上がらないなど苦労することも多い。サラリーマン時代には自分が稼ぐことはなくても給料が決まった日に振り込まれていた。ところが、経営者になると給料の保証がなく不安定な身分になってしまう。
また、現在の経済環境は厳しく、そうした条件の元で船出をすること自体が苦しみといえよう。
「老」は「老いる苦しみ」である。
経営者に当てはめると「会社が衰退していく苦しみ」である。
成長続ける会社や発展続ける会社はほとんどなく、商品やサービスの成熟化と衰退に伴い、会社自体が下り坂になることがある。あるいは、業界全体が衰退していくこともあるであろう。会社に勢いがなくなっていくことを実感する苦しみでもある。
「病」は「病気になる苦しみ」である。
社内コミュニケーションが取れずに、社内に不満がたまっているような会社が当てはまる。また、会社も社内で揉め事が起こることがある。お金を横領する者が出るかもしれないし、セクハラをする者も出るかもしれない。労働組合と折り合いがつかないこともあるであろう。あるいは、得意先や仕入先とトラブルになることだってあり得る。
そうした「会社内外での不満、摩擦、軋轢、トラブル」などが「病」にあたる。
また「大企業病や硬直的な官僚組織」になっている会社も当てはまるだろう。
「死」は死ぬ苦しみである。これはまさしく「会社が倒産する苦しみ」である。
<続く>
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世界を変える若き企業家たちへ
次に「八苦」であるが、一つ目は「愛別離苦」だ。
これは愛する人と別れる苦しみである。
大事に育てた社員、期待していた社員に辞められることを指す。また長年取引をして付き合ってきた得意先や仕入先に逃げられることもあるかもしれない。
経営者が「この社員は裏切らない、このお客様は大丈夫だ」と思っていた人々に去られる苦しみである。
「怨憎会苦」は、嫌な人に会う苦しみだ。
異常なクレーマーの顧客だが、お客様なので大切に接しないといけないので付き合わなければならないという苦しみはあるだろう。
また、親会社に散々厳しい要求をされるが、どうしても断れないということもある。行政の決まりごとで困ることもあるのではないか。
あるいは、社員でも反抗的なものや使いづらいものがいるだろう。物言う株主も対応が難しいのではなかろうか。そうした嫌な人とできれば接したくはないが、どうしても付き合わなければならないこと、そうした苦しみである。
「求不得苦」。これは、求めたものが得られない苦しみであり、ほとんどの人が苦しむものだ。
経営だと銀行に借り入れしたくても、できないことがあるだろう。いい人材が欲しくても応募してくれない、応募しても入社してくれないことはあるのではないか。
また名誉や収入を欲しても得られないことはあるし、高い評価をしてもらいたいと思っても、思うような評価をしてくれないことなど、考えれば山ほどある苦しみである。
「五陰盛苦」は、心身が思うようにならない煩悩による苦しみである。
成功すればするほど、誘惑も増えてくる。男性経営者だとお酒や女性に走るケースがある。社内不倫をしてしまったために家庭が崩壊したり、社員からの信用を失ったりすることもあるだろう。分を過ぎた欲を持ってしまって派手な生活をして失敗してしまう苦しみもある。
以上、仏教用語の「四苦八苦」は、「経営者特有の四苦八苦」があることを説明した。経営者は、普通の人の四苦八苦だけではなく、経営の中にも四苦八苦があるのである。
こうした分類は、苦しみや心という「つかみにくいもの」を客観的に分析するに役に立つ。漠然と苦しみを捉えるのではなく、苦しみの種類や段階を知って内観をすると、より深く自分自身の心を見つめることができるのだ。
まずはこうした経営者特有の四苦八苦について知っていただきたい。
そうして、経営者特有の四苦八苦について考えた私は、倒産の研究に関してもデータではなく、社長の内面が告白されているものを読むことにした。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
これは愛する人と別れる苦しみである。
大事に育てた社員、期待していた社員に辞められることを指す。また長年取引をして付き合ってきた得意先や仕入先に逃げられることもあるかもしれない。
経営者が「この社員は裏切らない、このお客様は大丈夫だ」と思っていた人々に去られる苦しみである。
「怨憎会苦」は、嫌な人に会う苦しみだ。
異常なクレーマーの顧客だが、お客様なので大切に接しないといけないので付き合わなければならないという苦しみはあるだろう。
また、親会社に散々厳しい要求をされるが、どうしても断れないということもある。行政の決まりごとで困ることもあるのではないか。
あるいは、社員でも反抗的なものや使いづらいものがいるだろう。物言う株主も対応が難しいのではなかろうか。そうした嫌な人とできれば接したくはないが、どうしても付き合わなければならないこと、そうした苦しみである。
「求不得苦」。これは、求めたものが得られない苦しみであり、ほとんどの人が苦しむものだ。
経営だと銀行に借り入れしたくても、できないことがあるだろう。いい人材が欲しくても応募してくれない、応募しても入社してくれないことはあるのではないか。
また名誉や収入を欲しても得られないことはあるし、高い評価をしてもらいたいと思っても、思うような評価をしてくれないことなど、考えれば山ほどある苦しみである。
「五陰盛苦」は、心身が思うようにならない煩悩による苦しみである。
成功すればするほど、誘惑も増えてくる。男性経営者だとお酒や女性に走るケースがある。社内不倫をしてしまったために家庭が崩壊したり、社員からの信用を失ったりすることもあるだろう。分を過ぎた欲を持ってしまって派手な生活をして失敗してしまう苦しみもある。
以上、仏教用語の「四苦八苦」は、「経営者特有の四苦八苦」があることを説明した。経営者は、普通の人の四苦八苦だけではなく、経営の中にも四苦八苦があるのである。
こうした分類は、苦しみや心という「つかみにくいもの」を客観的に分析するに役に立つ。漠然と苦しみを捉えるのではなく、苦しみの種類や段階を知って内観をすると、より深く自分自身の心を見つめることができるのだ。
まずはこうした経営者特有の四苦八苦について知っていただきたい。
そうして、経営者特有の四苦八苦について考えた私は、倒産の研究に関してもデータではなく、社長の内面が告白されているものを読むことにした。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
世界を変える若き企業家たちへ
倒産に関して1冊全てが社長の告白になっているものを読み研究することにした。
例えば、安田佳生『私、社長ではなくなりました。』(東京、プレジデント社、2012年)、板倉雄一郎『社長失格』(東京、日経BP社、1998年)、三浦紀夫『倒産社長の告白』(東京、草思社、2003年)そして、塩﨑凱也『「疫病神」「貧乏神」「死神」が教えてくれた幸せの法則』(東京、PHP研究所、2010年)などを読んでいった。
こうした体験談のような書物は倒産に至る経緯が詳しく、社長の心理状態を研究するには適している。
一方、倒産原因を体系化して書いているわけではないため、単なる「手記」で終わってしまい、読者が倒産原因を掴めにくい点がある。
また、一冊の著書に十数名の社長の倒産経験が記された書物もある。代表的なのは「八起会」会長野口誠一氏の著書であろう。「八起会」は倒産した経営トップの集まりである。
『倒産社長!どんな仕打ちを受け、どう立ち向かったか-破綻社長10人の涙の告白』(東京、中経出版、1998年)や『社長の失敗!私はここが甘かった<その2>油断編』(東京、中経出版、1998年)などがあり、私が読んだものだけでも4冊ある。
野口氏の著書は、中小企業の事例が豊富なところがよい。倒産原因を体系化しているものではないが、「倒産の原因ベスト10」や、「倒産しないための15カ条」など、倒産原因を箇条書きにし、その対策もまとめているところは価値がある。
倒産原因と対策に関して体系化したものは見つからなかったが、経営全般の失敗について体系化した著書は二つあった。
一冊は海外のもので、シドニー・フィンケルシュタイン 酒井泰介訳『名経営トップが、なぜ失敗するのか?』(東京、日経BP社、2004年)である。フィンケルシュタイン氏はダートマス大学の教授であり、彼と調査チームが6年間にわたって企業の大失敗事例を調査・研究し、まとめたものが前掲書である。調査対象は大失敗した51社の有名企業で大半は米国の大企業だが、ソニーや雪印など日本の大企業も一部入っている。倒産に至らなくとも、中小企業では考えられない規模の負債をかかえて事業撤退になった企業の例も記載されている。事業を閉じるという点では倒産に似通っているので、とても参考になる。
フィンケルシュタイン教授の指摘で興味深いことは、「名経営トップなのに失敗する」のではなく、「名経営トップだからこそ失敗することがある」という主張である。要約すると「経営トップが無能だから失敗するのではなく、無知だから失敗するのでもない。経営トップは非凡な知性と才能の持ち主であるし、大変な人間的魅力の持ち主でもある。そのとびぬけた優秀さが“優秀さの幻想”を呼び、市場や環境を支配していると錯覚し、周囲を道具に過ぎないように見てしまう。」というものだ。また、「失敗するトップの“七つの習慣”」を体系化させているのは評価される。
ただし、研究対象が米国や日本の世界的名門企業(超大企業)なので、中小企業やその他多くの企業には当てはまらない部分もあるのが残念である。また、失敗する経営トップをどのようにして変革して解決に導くかの方法論に乏しい。フィンケルシュタイン教授は、経営者という人間についての研究をまとめたのであるが、経営トップの精神面をどのようにして改善するのか、その探求が浅いところで終わっているのが惜しまれる。
他の一冊は、畑村洋太郎『社長のための失敗学』(東京、日本実業出版社、2002年)である。畑村教授も経営の失敗原因を分類し体系化を試みている。しかしながら、失敗原因が10種あり複雑な感は否めない。中小企業の経営トップの参考にはあまりならないと推測する。なぜなら複雑な内容は自社に応用しにくいからである。
そして、企業経営は人間が行うものであるにもかかわらず、畑村教授の理論では、フィンケルシュタイン教授よりも更に人の考え方や精神面の踏み込みが浅い。これでは人間が営む経営環境において解決力のある有効な手立てはできないだろう。
上記の通り、経営失敗に関する研究はなされてきてはいるが、経営トップにとって理解しやすく実効性がある研究はないと推測される。中小企業にとっては参考になる文献はないだろう。本論では中小企業にとって参考になるように進めて行きたい。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
例えば、安田佳生『私、社長ではなくなりました。』(東京、プレジデント社、2012年)、板倉雄一郎『社長失格』(東京、日経BP社、1998年)、三浦紀夫『倒産社長の告白』(東京、草思社、2003年)そして、塩﨑凱也『「疫病神」「貧乏神」「死神」が教えてくれた幸せの法則』(東京、PHP研究所、2010年)などを読んでいった。
こうした体験談のような書物は倒産に至る経緯が詳しく、社長の心理状態を研究するには適している。
一方、倒産原因を体系化して書いているわけではないため、単なる「手記」で終わってしまい、読者が倒産原因を掴めにくい点がある。
また、一冊の著書に十数名の社長の倒産経験が記された書物もある。代表的なのは「八起会」会長野口誠一氏の著書であろう。「八起会」は倒産した経営トップの集まりである。
『倒産社長!どんな仕打ちを受け、どう立ち向かったか-破綻社長10人の涙の告白』(東京、中経出版、1998年)や『社長の失敗!私はここが甘かった<その2>油断編』(東京、中経出版、1998年)などがあり、私が読んだものだけでも4冊ある。
野口氏の著書は、中小企業の事例が豊富なところがよい。倒産原因を体系化しているものではないが、「倒産の原因ベスト10」や、「倒産しないための15カ条」など、倒産原因を箇条書きにし、その対策もまとめているところは価値がある。
倒産原因と対策に関して体系化したものは見つからなかったが、経営全般の失敗について体系化した著書は二つあった。
一冊は海外のもので、シドニー・フィンケルシュタイン 酒井泰介訳『名経営トップが、なぜ失敗するのか?』(東京、日経BP社、2004年)である。フィンケルシュタイン氏はダートマス大学の教授であり、彼と調査チームが6年間にわたって企業の大失敗事例を調査・研究し、まとめたものが前掲書である。調査対象は大失敗した51社の有名企業で大半は米国の大企業だが、ソニーや雪印など日本の大企業も一部入っている。倒産に至らなくとも、中小企業では考えられない規模の負債をかかえて事業撤退になった企業の例も記載されている。事業を閉じるという点では倒産に似通っているので、とても参考になる。
フィンケルシュタイン教授の指摘で興味深いことは、「名経営トップなのに失敗する」のではなく、「名経営トップだからこそ失敗することがある」という主張である。要約すると「経営トップが無能だから失敗するのではなく、無知だから失敗するのでもない。経営トップは非凡な知性と才能の持ち主であるし、大変な人間的魅力の持ち主でもある。そのとびぬけた優秀さが“優秀さの幻想”を呼び、市場や環境を支配していると錯覚し、周囲を道具に過ぎないように見てしまう。」というものだ。また、「失敗するトップの“七つの習慣”」を体系化させているのは評価される。
ただし、研究対象が米国や日本の世界的名門企業(超大企業)なので、中小企業やその他多くの企業には当てはまらない部分もあるのが残念である。また、失敗する経営トップをどのようにして変革して解決に導くかの方法論に乏しい。フィンケルシュタイン教授は、経営者という人間についての研究をまとめたのであるが、経営トップの精神面をどのようにして改善するのか、その探求が浅いところで終わっているのが惜しまれる。
他の一冊は、畑村洋太郎『社長のための失敗学』(東京、日本実業出版社、2002年)である。畑村教授も経営の失敗原因を分類し体系化を試みている。しかしながら、失敗原因が10種あり複雑な感は否めない。中小企業の経営トップの参考にはあまりならないと推測する。なぜなら複雑な内容は自社に応用しにくいからである。
そして、企業経営は人間が行うものであるにもかかわらず、畑村教授の理論では、フィンケルシュタイン教授よりも更に人の考え方や精神面の踏み込みが浅い。これでは人間が営む経営環境において解決力のある有効な手立てはできないだろう。
上記の通り、経営失敗に関する研究はなされてきてはいるが、経営トップにとって理解しやすく実効性がある研究はないと推測される。中小企業にとっては参考になる文献はないだろう。本論では中小企業にとって参考になるように進めて行きたい。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
世界を変える若き企業家たちへ
さて、倒産事例の研究として書物を参照してきたが、ここで倒産の原因をしぼりこんでいきたい。
まず、倒産の原因について中小企業庁のデータから見てみよう。中小企業庁にある「原因別倒産状況」を見ると、平成25年年1月から平成26年8月までの全倒産件数は17,537社である。(古賀注:データが古いのは、2年前に本論を書き直したときのデータのため。大勢に影響はないとして、そのまま使用する)内、中小企業は17,525社であり、倒産企業の99.9%を占める。
倒産原因に関して規模別のデータはないが、倒産企業の99.9%は中小企業なので、これらのデータは中小企業の倒産原因と見なしてよいであろう。
一番多い原因は「販売不振」であり、12,029社(約69%)もある。その次は「既往のしわよせ」2,226件(約13%)。そして、「連鎖倒産」973件(約6%)、「放漫経営」848(約5%)、「過少資本」831件(約5%)の順となっている。これら5つの原因で98%を占めるが、中小企業庁では東京商工リサーチのデータを使って、5つの原因を含めて10種に倒産原因を分類している。
あるいは、前掲の野口氏は中小企業庁とは違う文言で原因を10に分類している。倒産原因を言葉にすると表現する人によって文言は様々であるし、数も10種類となってしまう。
本論では、共通する要素をまとめて原因を絞り込むこととする。なぜなら、原因を絞り込めば、誰でも理解し易くなるからである。
一番多い倒産原因は「販売不振」である。中小企業庁のデータでは「販売不振」が約70%を占めている。倒産原因の一つ目の括りは「販売不振」とする。
本論では、二つ目に「外部環境の変化」を挙げる。中小企業庁の原因別倒産状況の分類には入っていないが、「外部環境の変化」も倒産原因と思われるからだ。「外部環境の変化」とは、急激な円高・円安などの為替の大変動やリーマンショックのような世界的な大不況などが具体的な事例である。あるいは、消費税増税や建築基準法の改正など、法律の改正によって事業環境が大きく変わった場合も指す。
なお、「外部環境の変化」によって、結果的に「販売不振」となっているのであるが、「販売不振」にすべて集約してしまうと、問題が隠れてしまう危険性があるので、「外部環境の変化」を倒産原因の一つとして入れておくことにした。また、中小企業庁の倒産理由に挙げてある「連鎖倒産」も、この中に含める。「外部環境の変化」の定義は、自社以外の要素が影響して、その後対応を誤り倒産に至ったケースと考えてもらえばよい。
<続く>
まず、倒産の原因について中小企業庁のデータから見てみよう。中小企業庁にある「原因別倒産状況」を見ると、平成25年年1月から平成26年8月までの全倒産件数は17,537社である。(古賀注:データが古いのは、2年前に本論を書き直したときのデータのため。大勢に影響はないとして、そのまま使用する)内、中小企業は17,525社であり、倒産企業の99.9%を占める。
倒産原因に関して規模別のデータはないが、倒産企業の99.9%は中小企業なので、これらのデータは中小企業の倒産原因と見なしてよいであろう。
一番多い原因は「販売不振」であり、12,029社(約69%)もある。その次は「既往のしわよせ」2,226件(約13%)。そして、「連鎖倒産」973件(約6%)、「放漫経営」848(約5%)、「過少資本」831件(約5%)の順となっている。これら5つの原因で98%を占めるが、中小企業庁では東京商工リサーチのデータを使って、5つの原因を含めて10種に倒産原因を分類している。
あるいは、前掲の野口氏は中小企業庁とは違う文言で原因を10に分類している。倒産原因を言葉にすると表現する人によって文言は様々であるし、数も10種類となってしまう。
本論では、共通する要素をまとめて原因を絞り込むこととする。なぜなら、原因を絞り込めば、誰でも理解し易くなるからである。
一番多い倒産原因は「販売不振」である。中小企業庁のデータでは「販売不振」が約70%を占めている。倒産原因の一つ目の括りは「販売不振」とする。
本論では、二つ目に「外部環境の変化」を挙げる。中小企業庁の原因別倒産状況の分類には入っていないが、「外部環境の変化」も倒産原因と思われるからだ。「外部環境の変化」とは、急激な円高・円安などの為替の大変動やリーマンショックのような世界的な大不況などが具体的な事例である。あるいは、消費税増税や建築基準法の改正など、法律の改正によって事業環境が大きく変わった場合も指す。
なお、「外部環境の変化」によって、結果的に「販売不振」となっているのであるが、「販売不振」にすべて集約してしまうと、問題が隠れてしまう危険性があるので、「外部環境の変化」を倒産原因の一つとして入れておくことにした。また、中小企業庁の倒産理由に挙げてある「連鎖倒産」も、この中に含める。「外部環境の変化」の定義は、自社以外の要素が影響して、その後対応を誤り倒産に至ったケースと考えてもらえばよい。
<続く>
世界を変える若き企業家たちへ
三つ目に、中小企業庁のデータでは5%と少ないが、「放漫経営」も倒産理由の括りの一つに入れておきたい。
なぜなら、事例の研究をしていると、経営トップが放漫経営をしているケースがたくさん存在したからである。野口氏は前掲書で倒産原因の第一位を「経営者の高慢、経営能力の過信」としている。
失敗する経営トップは、成功しているときに気持ちが大きくなり、過大な設備投資をしたり、儲からない不動産投資をしたり、工場を大幅に改築したり、人員を一度に増大したりしているケースが多い。
あるいは、次から次へ企業を買収し企業規模を大きくして、結果的に不採算の子会社を複数持ってしまうケースもある。赤字の会社でも自分だったら黒字にできると思いこむ。ところが実際は、不採算の企業にはそれなりの理由があって不採算になっているのであり、その赤字子会社への貸付金が焦げ付いてしまい、買収元の親会社の資金繰りが悪化して倒産してしまうようなこともある。
また、中小企業庁の倒産原因にあった「既往のしわよせ」は、過去の複数の失敗をそのままにしておいて、気が付いたら倒産していたというケースなので、「放漫経営」の一部として分類する。
最後の四つ目は「お人好し」である。
倒産事例を研究すると、お人好しで悪い人間に騙されているケースもかなり見受けられた。簡単に連帯保証人になったり、融通手形を頼まれて簡単に応じたりして、破産している経営トップがいた。
これらは、人生の悪に対する知見、知識の無さである。
あるいは、撤退すべきであると分かっていても「良い人だと見られたい」といった欲があって、リストラもできない、事業の撤退もできないという経営者がいる。真面目だけれども、お人好しで、優柔不断、悪に対する知見の無い経営トップを「未熟さ」として分類した。
これで一般的な倒産原因を4つまでしぼることができた。
(a) 販売不振
(b) 外部環境の変化
(c) 放漫経営
(d) お人好し
これらの4つは、一般的に考えられている倒産原因を使って絞り込み、まとめたものである。
大事なことは、これら4つの表面的な原因の奥にある真の原因を見抜くことである。
みなさんも考えていただきたい。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。
なぜなら、事例の研究をしていると、経営トップが放漫経営をしているケースがたくさん存在したからである。野口氏は前掲書で倒産原因の第一位を「経営者の高慢、経営能力の過信」としている。
失敗する経営トップは、成功しているときに気持ちが大きくなり、過大な設備投資をしたり、儲からない不動産投資をしたり、工場を大幅に改築したり、人員を一度に増大したりしているケースが多い。
あるいは、次から次へ企業を買収し企業規模を大きくして、結果的に不採算の子会社を複数持ってしまうケースもある。赤字の会社でも自分だったら黒字にできると思いこむ。ところが実際は、不採算の企業にはそれなりの理由があって不採算になっているのであり、その赤字子会社への貸付金が焦げ付いてしまい、買収元の親会社の資金繰りが悪化して倒産してしまうようなこともある。
また、中小企業庁の倒産原因にあった「既往のしわよせ」は、過去の複数の失敗をそのままにしておいて、気が付いたら倒産していたというケースなので、「放漫経営」の一部として分類する。
最後の四つ目は「お人好し」である。
倒産事例を研究すると、お人好しで悪い人間に騙されているケースもかなり見受けられた。簡単に連帯保証人になったり、融通手形を頼まれて簡単に応じたりして、破産している経営トップがいた。
これらは、人生の悪に対する知見、知識の無さである。
あるいは、撤退すべきであると分かっていても「良い人だと見られたい」といった欲があって、リストラもできない、事業の撤退もできないという経営者がいる。真面目だけれども、お人好しで、優柔不断、悪に対する知見の無い経営トップを「未熟さ」として分類した。
これで一般的な倒産原因を4つまでしぼることができた。
(a) 販売不振
(b) 外部環境の変化
(c) 放漫経営
(d) お人好し
これらの4つは、一般的に考えられている倒産原因を使って絞り込み、まとめたものである。
大事なことは、これら4つの表面的な原因の奥にある真の原因を見抜くことである。
みなさんも考えていただきたい。
<続く>
※ この論考の著作権は、古賀光昭にあります。無断転載、使用を禁じます。